問題
ウェブシステムの開発・販売、保守運用等の事業を営んでいる X 社は、自社で開発したインターネット受発注システム(以下「本件システム」という。)を、企業向けウェブシステムの販売、コンサルティング等の事業を営んでいる Y 社に販売して納品した。Y 社は、X 社から販売・納品を受けた本件システムを自社のエンドユーザーである顧客向けに転売・納品すると同時に、転売・納品した本件システムの保守運用業務を X 社に委託した。 X 社から Y 社に販売した本件システムの販売代金については、発注時に3分の1、X 社による納品・Y 社の検収時に3分の1、納品・検収から2か月後に残り3分の1の金額を支払うとの約定であったところ、Y 社は、発注時、納品・検収時の分割金はそれぞれ支払ったものの、残り3分の1の金額については支払期限が経過しても支払おうとしない。他方、本件システムの保守運用業務の業務委託料については、客先での本件システムの稼働開始から3か月後に1回目の業務委託料を支払うものとの X 社・Y 社間の約定があり、いまだ支払期限は到来していない。 この事例において考えられる X 社の Y 社に対する債権回収の手段・方法に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
選択肢
- 1X 社が Y 社に本件システムを販売した際に、Y 社代表者 A が個人として販売代金の支払について連帯保証する旨 X 社代表者に対して発言し、X 社代表者が口頭で A の個人保証を承諾していた場合、X 社は、A 個人に対して保証債務の履行として残代金の支払を請求することができる。
- 2X 社が Y 社に本件システムを販売した際に、Y 社代表者 A が個人としても販売代金の支払について保証する旨の電子メールを X 社代表者に送信し、X 社代表者が A の個人保証を承諾する旨の電子メールを A に返信していた場合、X 社は、Y 社に対して本件システムの販売残代金の支払を求めることなく、A 個人に対して保証債務の履行を請求できる。
- 3Y 社が取引先企業に対する売掛債権を有している場合、X 社の Y 社に対する本件システムの販売残代金債権を保全する方法として、Y 社が有する売掛債権に対する仮差押命令の申立てが考えられる。
- 4Y 社の資産状況が著しく悪化した状況にある場合には、いまだ支払期限の到来していない本件システムの保守運用業務の業務委託料の支払が得られない危険があることを理由として、X 社が、Y 社顧客の下で稼働中の本件システムに関する保守運用業務を一方的に停止することが許される場合もある。
正解
1. X 社が Y 社に本件システムを販売した際に、Y 社代表者 A が個人として販売代金の支払について連帯保証する旨 X 社代表者に対して発言し、X 社代表者が口頭で A の個人保証を承諾していた場合、X 社は、A 個人に対して保証債務の履行として残代金の支払を請求することができる。
詳しい解説を見る解説を閉じる
解説
アが最も不適切です。民法第446条第2項により、保証契約は書面(または電磁的記録)でしなければ効力を生じないとされており、口頭での保証契約は無効です。したがって、A個人が口頭で連帯保証する旨発言し、X社代表者が口頭で承諾しただけでは、保証契約は成立せず、X社はA個人に対して保証債務の履行を請求することはできません。イについて、保証契約は電子メール(電磁的記録)でも成立可能であり(民法第446条第3項)、連帯保証の場合は催告の抗弁権・検索の抗弁権がないため、主債務者Y社への請求を経ずに保証人A個人に履行請求できます。ウは民事保全法上の仮差押え(民事保全法第20条)として正しい方法です。エは民法第541条等の不安の抗弁権や同時履行関係に基づく履行停止が一定の要件下で認められる場合があり、適切です。(出典: 一般社団法人 中小企業診断協会 平成23年度 中小企業診断士1次試験 経営法務 第12問)
中小企業診断士トップ
一問一答・予想問題・まとめノート