診断士に戻る
経営法務難易度: 標準2012年度

中小企業診断士 過去問経営法務 第3問

問題

いわゆる濫用的会社分割に関する以下の会話は、中小企業診断士であるあなたと、顧客であるX株式会社の代表取締役甲氏との間で行われたものである。X株式会社がA設備株式会社に対して売掛金を請求する場合の法的根拠として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。なお、以下の会話中、A社とはA株式会社のことをいう。 甲氏:「取引先のA社から、支払いがなくなったんですよ。それであわてて、A社の本社に行ってみたら、A社という会社の看板はなくなっていて、代わりに、A社と全く同じ設備、同じ人で、名前だけがA設備株式会社という名前になって、同じ営業をしていたんです。それでどういうことだと思って話を聞いてみたら、会社分割という方法を使って、今度からはA設備株式会社がここで営業をする、と言うんですよ。 それなので、うちの売掛金も払ってもらえるもんだと思って話をしてみたら、A設備株式会社は、A社とは別の会社だから支払えない、A社は閉めてしまった、と言うんです。」 あなた:「それはやられましたね。濫用的会社分割などと言われているものだと思います。」 甲氏:「濫用的会社分割…。それはどういったものですか。」 あなた:「資産を別会社に移して、従来の負債はそのまま元の会社に残しておいて、実質的に債務を免れるものです。」 甲氏:「どうしてそんなことができるんですか。債権者に連絡したりしないといけないんじゃないですか。」 あなた:「元の会社が負債の全部の支払を引き受けるときには、元の会社の債権者への連絡はいらないんですよ。今回の場合も、A社が全部の債務を負うということにしていれば、何の連絡もなく、会社分割ができてしまうんですよ。」 甲氏:「そうすると、彼らの言うとおり、もうA設備株式会社には請求ができないということですか。」 あなた:「いえ、必ずしもそうではありません。何か方法があるはずです。知り合いの弁護士を紹介しますから相談してみてください。」

選択肢

  1. 1債権者代位
  2. 2詐害行為取消権
  3. 3併存的債務引受
  4. 4連帯保証

正解

2. 詐害行為取消権

詳しい解説を見る

解説

濫用的会社分割(詐害的会社分割)とは、債務超過に陥った会社が優良資産だけを新設会社・承継会社に移転し、債務はそのまま分割会社に残すことで、債権者に弁済しないまま実質的に債務を免れる行為をいう。本件では、A社の優良な営業資産がA設備株式会社に移転され、X社の売掛債権はA社(事実上の空殻会社)に残されたため、X社は被害を受けている。 判例(最判平成24年10月12日)は、こうした詐害的会社分割について、分割会社の債権者は、民法424条に基づく詐害行為取消権を行使して、新設分割・吸収分割による財産処分を取り消し、財産の取戻しを請求できるとした。これにより、X社は詐害行為取消権を法的根拠として、A設備株式会社に対し売掛金相当額の支払を請求し得る。 したがって、イ「詐害行為取消権」が正解。 ア:債権者代位(民法423条)は債務者の有する第三者に対する権利を代位行使する制度。A社がA設備株式会社に対して保有する権利を代位行使するわけではないので不適切。 ウ:併存的債務引受は、債務者と引受人が連帯して債務を負う合意であり、A設備株式会社が引受合意をしていない以上、根拠とならない。 エ:連帯保証もA設備株式会社が保証契約を締結していなければ根拠にならない。 よってイが正解。(出典: 一般社団法人 中小企業診断協会 平成24年度 中小企業診断士1次試験 経営法務 第3問)

中小企業診断士トップ

一問一答・予想問題・まとめノート

経営法務の関連問題

この調子で演習を続けよう

スキマ資格では中小企業診断士の全7073問を分野別・難易度別に体系的に学習できます。中小企業診断士は7科目すべてで6割を取る戦略が王道です。