問題
選択肢
- 1遺産分割されてしまったのであれば、仕方がありませんから、長男から300万円返してもらえるか、何かいい方法がないか考えた方がいいと思います
- 2次男に請求することも可能ですが、請求した場合、次男としてはそれから30日以内に相続放棄の手続をとれば相続放棄が認められますから、結局は次男からは回収できないこととなってしまうと思います
- 3次男は遺産分割協議書を作成していたとしても相続放棄をしたことにはなりませんから、法定相続分に従って、150万円の返済を次男に求めることはできるはずですよ
- 4負債があるのに1人にだけ資産を全部集中させる内容の遺産分割は無効ですから、次男に300万円請求することはできるはずですよ
正解
3. 次男は遺産分割協議書を作成していたとしても相続放棄をしたことにはなりませんから、法定相続分に従って、150万円の返済を次男に求めることはできるはずですよ
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解説
相続が開始すると、被相続人の権利義務は法律上当然に共同相続人に承継される(民法896条)。とりわけ可分の金銭債務は、相続開始と同時に法定相続分に応じて当然分割され、各相続人が分割債務として承継するとされる(最判昭和34年6月19日等)。本件のA氏の借入金300万円は、A氏の死亡により長男・次男(子2人のみが相続人で配偶者は既に死亡)にそれぞれ法定相続分1/2=150万円ずつ分割承継される。 ここで、相続人間の遺産分割協議で「長男がすべてを相続し次男は何も相続しない」と合意していても、それは相続人間の内部的な財産分配の取り決めにすぎず、対外的に債権者(甲氏の会社)に対して債務を免れさせる効力はない(債権者の同意なき免責的債務引受は債権者に対抗できない)。また、遺産分割協議に参加して合意しただけでは相続放棄の効力は生じない(相続放棄は家庭裁判所への申述によりはじめて効力が生じる:民法938条、915条)。 したがって、次男はなお150万円について法定相続分の範囲で債務を負っており、甲氏は次男に対して150万円の支払を請求できる。よってウが正解。 ア:法定相続分に基づく請求が可能であり、長男からのみ回収するしかないとは言えないため不適切。 イ:相続放棄は相続の開始を知った時から3か月以内に家庭裁判所への申述が必要(民法915条)であり、債権者からの請求後30日以内に手続をすれば認められるという仕組みは存在しない。さらに、既に遺産分割協議に参加し相続財産を処分する行為があったと評価されれば法定単純承認となり相続放棄はそもそも認められない(民法921条)。誤り。 エ:遺産分割協議自体が無効になるわけではない(協議自体は相続人間で自由)。誤り。 よってウが正解。(出典: 一般社団法人 中小企業診断協会 平成24年度 中小企業診断士1次試験 経営法務 第5問)
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