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経営法務難易度: 難2012年度

中小企業診断士 過去問|経営法務 第2問

問題

電子部品メーカーX株式会社(以下「X社」という。)の資金調達に関する、X社社長甲氏と中小企業診断士であるあなたとの間の以下の会話を読んで、下記の設問に答えよ。なお、あなたの発言の下線部①〜④のうち、1つには誤りが含まれている。 甲氏:「この間、メインバンクから、大口の取引先への売掛金を、現在掛売りしている分だけでなく、今後発生する取引の分もまとめて担保に差し出せと言われたんだけど、そんなことできるの。」 あなた:「集合債権の譲渡担保という方法があります。担保提供を受けた銀行は、【A】登記に加えて、登記事項証明書交付による【B】がされれば、他の債権者に対しても売掛先に対しても、将来発生する売掛債権も含めて、担保権者として優先弁済を受ける権利を主張できます。①つまり、担保権者は、融資先の期限の利益が喪失した時点で少なくとも具体的に発生している売掛債権については、融資先に担保権の実行通知を出して売掛債権の取得や処分ができますし、弁済期の到来した売掛先には直接取立てができるので、一般債権者に優先して債権回収ができます。」 甲氏:「へえ、そうなんだ。あと、同業のY社は代理店になっているメーカーの意向で、電子手形というのを始めたらしいんだけど、これって要するに紙の手形が要らなくなるってやつでしょ。」 あなた:「そうですね。紙の手形の代わりに、【C】の電子記録で債権の発生や譲渡が管理されるので、債権管理のコスト削減にもつながりますし、コンピュータのセキュリティを確保しておけば、紙の手形のような証券の紛失・盗難や偽造のリスクもありません。②債務者が電子記録名義人に支払いさえすれば重大な過失がない限り免責されることや、金融機関に持ち込んで割引を受けるときに債権金額の分割ができないことは、紙の手形と同様です。」 甲氏:「資金調達の手段が便利になったのはいいけど、作った製品が売れないことには借金を返すめども立たん。わが社はガラケー(※ガラパゴス携帯電話)全盛時代に専用設備の投資にシフトし過ぎたから、Y社のようにスマホ(※スマートフォン)のタッチパネル製造用に機械を更新する資金的な余裕もない。このままだと資金ショートで即アウトになりかねないから、何とか会社を生き残らせるために、民事再生とかも考えないと。」 あなた:「そうですね。③民事再生であれば、再生手続開始後も会社の業務遂行権や財産の管理処分権は維持されますから、経営者自身が企業の再建を進めていけるのが原則です。裁判所によって選任された監督委員の同意が必要な行為もありますけどね。④あと、民事再生手続が開始されれば、債権譲渡担保のような担保権についても、再生手続の中に組み込まれ、担保権者は届出をして再生手続に参加しない限り、担保権を実行することができません。」 【設問2】会話におけるあなたの発言の下線部①〜④のうち、正しい発言の組み合わせとして最も適切なものはどれか。 ①集合債権譲渡担保について、担保権者は、融資先の期限の利益が喪失した時点で具体的に発生している売掛債権については、融資先に担保権の実行通知を出して売掛債権の取得や処分ができ、弁済期到来の売掛先には直接取立てができる。 ②電子記録債権について、債務者が電子記録名義人に支払いさえすれば重大な過失がない限り免責されることや、金融機関に持ち込んで割引を受けるときに債権金額の分割ができないことは、紙の手形と同様である。 ③民事再生であれば、再生手続開始後も会社の業務遂行権や財産の管理処分権は維持され、経営者自身が企業の再建を進めていけるのが原則である。 ④民事再生手続が開始されれば、債権譲渡担保のような担保権についても、再生手続の中に組み込まれ、担保権者は届出をして再生手続に参加しない限り担保権を実行することができない。

選択肢

  1. 1下線部①と下線部②
  2. 2下線部①と下線部③
  3. 3下線部②と下線部④
  4. 4下線部③と下線部④

正解

2. 下線部①と下線部③

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解説

各下線部の正誤を検討する。 ①(正):集合債権譲渡担保が設定されている場合、担保権者は期限の利益喪失時に具体的に発生している売掛債権について、融資先に担保権実行の通知を出して債権の取得や処分が可能であり、弁済期到来の第三債務者(売掛先)に対しては直接取立てもできる。実務的に確立した方法であり、記述は正しい。 ②(誤):電子記録債権法では、電子記録名義人への支払によって債務者が善意・無重過失で免責される点は紙の手形と同様である(電子記録債権法21条)。しかし、電子記録債権は紙の手形と異なり「分割記録」が認められており(電子記録債権法43条以下)、債権金額の一部だけを分割して譲渡・割引することが可能である。よって「金額の分割ができないことは紙の手形と同様」というのは誤り。 ③(正):民事再生手続は、再生手続開始後も債務者自身(DIP:Debtor In Possession)が業務遂行権と財産管理処分権を維持し、自ら再建を進めるのが原則である(民事再生法38条1項)。裁判所は監督委員を選任して同意権を行使させることはあるが、管財人方式(管理命令型)は例外である。記述は正しい。 ④(誤):民事再生手続では、担保権は「別除権」として扱われ(民事再生法53条)、別除権者は再生手続外で自由に担保権を実行できる。届出をして再生手続に参加しなければ実行できないとする本記述は誤り。なお、別除権者が再生手続に組み込まれて議決権を持つのは、被担保債権の不足額部分についてのみである。 したがって、正しいのは①と③であり、イが正解。(出典: 一般社団法人 中小企業診断協会 平成24年度 中小企業診断士1次試験 経営法務 第16問 設問2)

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