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民法等

善意と悪意の違い

民法での「善意」「悪意」は道徳的な意味ではなく、ある事実を「知らない」か「知っている」かを表します。第三者保護の場面で頻出し、さらに「善意無過失」と「善意有過失」で扱いが分かれることも多い論点です。

比較表で見る違い

観点善意悪意
意味事実を知らないこと事実を知っていること
第三者保護保護される(要件は条文ごと)原則保護されない
無過失要件条文により無過失も要求(96条3項・94条2項類推等)不要(知っているので過失論点なし)
主張立証責任善意者側が主張するのが原則悪意を主張する者に立証責任
具体例詐欺による取消前の善意無過失の第三者は保護心裡留保で相手方が悪意なら無効

それぞれの詳しい解説

A善意

当該事実を知らないこと。多くの場面で第三者保護の要件となります。さらに「善意無過失」(知らないことに過失なし)まで要求される場合もあり、条文ごとの確認が必要です。

  • 詐欺取消・錯誤取消の善意の第三者は無過失も必要(96条3項・95条4項)

  • 94条2項(虚偽表示)は善意のみで足りる(無過失不要)

  • 即時取得は善意かつ無過失が要件

B悪意

当該事実を知っていること。原則として法的保護を受けられず、表意者から取消や無効を主張されると対抗できません。「悪意であること」の立証責任は、悪意を主張する側にあります。

  • 心裡留保で相手方が悪意なら意思表示は無効

  • 通謀虚偽表示の悪意の第三者には対抗可能

  • 時効取得において悪意者の取得時効は20年

試験対策のポイント

「善意=知らない/悪意=知っている」が出発点。詐欺・錯誤の第三者保護は「善意無過失」、虚偽表示は「善意のみ」と条文ごとの違いを区別する。

理解度チェック(3問)

Q1. 民法における「善意」の意味として正しいものはどれか。

  1. 1相手方を思いやる気持ちがあること
  2. 2ある事実を知らないこと
  3. 3無過失であること
  4. 4法律行為に同意していること
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正解:2. ある事実を知らないこと

民法上の「善意」は道徳的意味ではなく「ある事実を知らないこと」を指す。「悪意」は「知っていること」。

Q2. 詐欺による意思表示の取消を、取消前の第三者に対抗できない要件として正しいものはどれか。

  1. 1第三者が善意のみであれば足りる
  2. 2第三者が善意かつ無過失であること
  3. 3第三者が登記を備えていること
  4. 4第三者が悪意でないこと
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正解:2. 第三者が善意かつ無過失であること

民法96条3項により、詐欺による取消は善意かつ無過失の第三者に対抗できない(2020年改正で無過失要件が明文化)。

Q3. 通謀虚偽表示(94条2項)における第三者保護の要件として正しいものはどれか。

  1. 1善意のみ
  2. 2善意無過失
  3. 3善意かつ登記
  4. 4無過失のみ
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正解:1. 善意のみ

94条2項の第三者保護は「善意」のみで足り、無過失や登記は要件ではない(判例)。詐欺取消との違いに注意。

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