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刑法難易度: 2021年度

司法書士 過去問刑法 第74問

問題

強盗罪に関する次のアからオまでの記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは,後記 1 から 5 までのうち,どれか。 ア Aは,Bに対して暴行・脅迫を加えて手提げバッグを強取しようと考え,まずは,Bの足下に置かれていた当該手提げバッグを手に取り,次いで,Bに対し,その反抗を抑圧するに足りる程度の暴行・脅迫を加え,Bの反抗を抑圧して当該手提げバッグの奪取を確保した。この場合,Aには,強盗罪ではなく,事後強盗罪が成立する。 イ Aは,Bから麻薬購入資金として現金を預かっていたが,その返還を免れようと考え,Bに対し,その反抗を抑圧するに足りる程度の暴行・脅迫を加え,Bの反抗を抑圧し,その返還を免れた。この場合,Bは当該現金に関する法律上の請求権を有しなかったのであるから,Aには,強盗利得罪は成立しない。 ウ Aは,Bから金銭を借りていたが,その支払を免れようと考え,Bに対し,その反抗を抑圧するに足りる程度の暴行・脅迫を加え,Bの反抗を抑圧し,事実上債務の弁済請求ができない状態に陥らせた。この場合,Aには,強盗利得罪は成立しない。 エ 窃盗の未遂犯であるAは,当該犯行を目撃してAを取り押さえようとしたBに対し,逮捕を免れる目的で,その反抗を抑圧するに足りる程度の暴行・脅迫を加え,Bの反抗を抑圧し,逮捕を免れた。この場合,Aには,事後強盗既遂罪ではなく,事後強盗未遂罪が成立する。 オ Aは,怨恨からBを殺害したが,その直後に財物奪取の意思を生じて,Bの所持品を奪った。この場合,Aには,強盗殺人罪は成立しない。

選択肢

  1. 1アイ
  2. 2アウ
  3. 3イオ
  4. 4ウエ
  5. 5エオ

正解

5. エオ

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解説

正解は「エオ」(正しいものの組合せ)。 ア=誤り。事後強盗罪は、窃盗が財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために暴行又は脅迫をした場合に成立する(刑法238条)。本問のAは当初から暴行・脅迫によって財物を強取する意思を有しており、財物を手に取った後に反抗抑圧の暴行・脅迫を加えて奪取を確保したのであるから、事後強盗罪ではなく強盗罪が成立する。根拠:刑法236条1項、238条 イ=誤り。強盗利得罪にいう「財産上不法の利益」は、事実上の利益をもって足り、被害者が法律上有効な請求権を有していることを要しない。麻薬購入資金として預かった現金の返還を反抗抑圧により免れた場合も、事実上支払を免れる利益を得たといえるから、強盗利得罪が成立する。根拠:刑法236条2項 ウ=誤り。債務者が債権者に対して反抗を抑圧するに足りる暴行・脅迫を加え、事実上債務の弁済請求ができない状態に陥らせた場合には、支払の一時猶予という財産上不法の利益を得たものとして強盗利得罪が成立する(最判昭和32年9月13日参照)。根拠:刑法236条2項 エ=正しい。事後強盗罪の既遂・未遂は、その前提となる窃盗が既遂に達したかどうかによって決せられる(最判昭和24年7月9日)。窃盗が未遂にとどまる以上、逮捕を免れる目的で暴行・脅迫を加えても事後強盗未遂罪が成立するにとどまる。根拠:刑法238条、243条 オ=正しい。強盗殺人罪が成立するには、財物奪取の意思をもって殺害することを要する。人を殺害した後に初めて財物奪取の意思を生じてその所持品を奪った場合には、強盗殺人罪は成立せず、殺人罪と窃盗罪(又は占有離脱物横領罪)が成立するにとどまる(最判昭和41年4月8日参照)。根拠:刑法240条、199条、235条 以上より、正しいのはエとオであり、正解は「エオ」となる。(出典: 令和3年度 司法書士試験 午前の部 第25問)

一問一答

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