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刑法難易度: 2022年度

司法書士 過去問刑法 第71問

問題

不同意わいせつ罪又は不同意性交等罪に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。 ア Aは、成人男性であるBに暴行を加えて、その反抗を著しく困難にし、Bの肛門にAの陰茎を挿入した。この場合、Aには不同意性交等罪が成立しない。 イ Aは、17歳の男性であり、14歳の女性であるBから真意に基づく承諾を得た上、暴行又は脅迫を用いることなく、Bと性交をした。この場合、Aには不同意性交等罪が成立する。 ウ Aは、児童ポルノを製造して対価を得る目的で、自己の性欲を満たす意図を持たずに、小学生の女性であるBにAの陰茎を触らせるとともに、Bの陰部を触った。この場合、Aには不同意わいせつ罪が成立しない。 エ Aは、成人女性であるBに暴行を加えて、その反抗を抑圧し、Bと性交をした後、その場で畏怖しているBの様子を見て、強盗の犯意を生じ、Bが所持していた現金を強取した。この場合、Aには強盗・不同意性交等罪が成立する。 オ Aは、成人女性であるBに暴行を加えて、その反抗を著しく困難にし、Bの膣内に陰茎の形をした性玩具を挿入した。この場合、Aには不同意性交等罪が成立する。 ※ 本問は出題後の法改正により現行法と内容が合わなくなっていたため、当サイトで現行法に合わせて改題しています(詳細は解説参照)。

選択肢

  1. 1アイ
  2. 2アウ
  3. 3イオ
  4. 4ウエ
  5. 5エオ

正解

5. エオ

詳しい解説を見る

解説

正解は「エオ」(正しいものの組合せ)。 【改題について】本問は令和4年度の出題であり、当時の刑法が定めていた強制わいせつ罪・強制性交等罪を前提としていた。しかし令和5年の刑法改正(令和5年法律第66号、同年7月13日施行)により、これらの罪は不同意わいせつ罪(刑法176条)・不同意性交等罪(刑法177条)に改められ、成立要件も大きく変わった。そこで当サイトでは、公表された5つの記述のうち法改正によって結論が変わるものを現行法に合わせて改めた上で収録している。改めた点は次の3つである。第一に、罪名を現行のものに改めた。第二に、承諾年齢に関する記述について、13歳以上16歳未満の者に対する性交等では行為者がその者より5年以上年長であることが要件とされたこと(刑法177条3項)を問う形とするため、行為者の年齢を17歳と特定した。第三に、膣又は肛門に物を挿入する行為が「性交等」に含まれることとなったこと(刑法177条1項)を踏まえ、結論部分を「成立する」に改めた。正解の組合せは公表されたものと同じである。 ア=誤り。不同意性交等罪は、暴行若しくは脅迫を用いること等により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ、又はその状態にあることに乗じて性交等をした場合に成立する(刑法177条1項、176条1項1号)。被害者の性別は問われず、性交等には肛門性交も含まれるから、成人男性に対する本問の行為についても不同意性交等罪が成立する。根拠:刑法177条1項、176条1項1号 イ=誤り。16歳未満の者に対して性交等をした者は、同意の有無や暴行・脅迫の有無を問わず不同意性交等罪となるが、被害者が13歳以上16歳未満である場合には、行為者がその者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者であることを要する(刑法177条3項)。17歳のAと14歳のBとでは年齢差が5年に満たないから、この要件を満たさず、同罪は成立しない。改正前の性交同意年齢が13歳未満であったのに対し、16歳未満に引き上げつつ年齢が近い当事者間を除外した点が改正の要点である。根拠:刑法177条3項 ウ=誤り。強制わいせつ罪の成立に行為者の性的意図を一律に要件とすることは相当でない(最大判平成29年11月29日)。この判断は不同意わいせつ罪についても同様に妥当し、児童ポルノを製造して対価を得る目的であっても、行為が客観的にわいせつなものであれば同罪が成立する。また被害者は13歳未満であるから、年齢差の要件を待つまでもなく刑法176条3項により同罪が成立する。根拠:刑法176条3項、最大判平成29年11月29日 エ=正しい。強盗の罪若しくはその未遂罪を犯した者が不同意性交等の罪若しくはその未遂罪をも犯したとき、又は不同意性交等の罪若しくはその未遂罪を犯した者が強盗の罪若しくはその未遂罪をも犯したときは、強盗・不同意性交等罪が成立する(刑法241条1項)。犯罪の先後を問わずに成立する点は平成29年改正で導入された規律であり、令和5年改正後も維持されている。根拠:刑法241条1項 オ=正しい。令和5年改正により、「性交等」には性交、肛門性交及び口腔性交のほか、膣若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなものが含まれることとなった(刑法177条1項)。したがって暴行により反抗を著しく困難にして膣内に性玩具を挿入する行為には、不同意わいせつ罪ではなく不同意性交等罪が成立する。改正前は同様の行為が強制わいせつ罪にとどまっていた点と対比して押さえたい。根拠:刑法177条1項 以上より、正しいのはエとオであり、正解は「エオ」となる。(出典: 令和4年度 司法書士試験 午前の部 第25問・当サイトで改題)

一問一答

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