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民法難易度: 標準2023年度

司法書士 過去問民法 第306問

問題

次の対話は、所有権の取得に関する教授と学生との対話である。教授の質問に対する次のアからオまでの学生の解答のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものの組合せは、後記 1 から 5 までのうち、どれか。 教授: 所有権の取得の形態には、承継取得と原始取得の 2 つがありますね。民法には、付合、混和及び加工の規定がありますが、これらの規定による取得は承継取得と原始取得のどちらに当たりますか。 ア 原始取得に当たります。 教授: Aの所有する甲動産とBの所有する乙動産とが、付合により、損傷しなければ分離することができなくなった場合において、甲動産の方が主たる動産であるときは、その合成物の所有権は誰に帰属しますか。 イ Aに帰属します。 教授: 請負人が自ら材料を提供して建物の建築を始めたが、独立の不動産になっていない建前の状態で工事を中止した後、第三者がその建前に自ら材料を提供して工事を続行して建物を建築した場合には、その建物の所有権の帰属はどの規定により決定されるでしょうか。 ウ 動産の付合の規定により決定されます。 教授: 他人の動産に、自らは他に材料を提供しないで工作を加えた者が加工物の所有権を取得するのはどのような場合ですか。 エ 工作によって生じた価格が材料の価格を著しく超えるときです。 教授: Aの所有する甲液体とBの所有する乙液体とが混和して識別することができなくなった場合には、その合成物の所有権は誰に帰属しますか。 オ 甲液体と乙液体について主従の区別が可能かどうかにかかわらず、混和の時における価格の割合に応じて、AとBとが共有することになります。

選択肢

  1. 1アイ
  2. 2アエ
  3. 3イオ
  4. 4ウエ
  5. 5ウオ

正解

5. ウオ

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解説

正解は「ウオ」(誤っているものの組合せ)。 ア=正しい。付合・混和・加工による所有権の取得は、前主の権利に基づかず法律の規定により新たに所有権を取得するものであるから、原始取得に当たる。したがって、従前の物に設定されていた権利は原則として消滅する。根拠:民法242条〜248条 イ=正しい。所有者を異にする数個の動産が付合により損傷しなければ分離することができなくなったときは、その合成物の所有権は主たる動産の所有者に帰属する(民法243条)。甲動産が主たる動産である以上、合成物の所有権はAに帰属する。根拠:民法243条 ウ=誤り。建築途中の建前に第三者が材料を提供して工事を施し、独立の不動産である建物を完成させた場合における建物所有権の帰属は、動産の付合の規定(民法243条)ではなく、加工の規定(民法246条2項)に基づいて決定すべきである(最判昭和54年1月25日)。建物の建築という行為は材料の単なる結合ではなく工作としての性格を有するからである。根拠:民法246条2項 エ=正しい。他人の動産に工作を加えた場合、加工物の所有権は材料の所有者に帰属するのが原則であるが、工作によって生じた価格が材料の価格を著しく超えるときは、加工者が加工物の所有権を取得する(民法246条1項)。根拠:民法246条1項 オ=誤り。混和については付合の規定が準用される(民法245条)。したがって、主従の区別をすることができるときは主たる動産の所有者が合成物の所有権を取得し(243条の準用)、主従の区別をすることができないときに初めて混和の時における価格の割合に応じて共有となる(244条の準用)。主従の区別の可否にかかわらず共有になるとする点が誤りである。根拠:民法245条・243条・244条 以上より、誤っているのはウとオであり、正解は「ウオ」となる。(出典: 令和5年度 司法書士試験 午前の部 第9問)

一問一答

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