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民法難易度: 標準2023年度

司法書士 過去問民法 第305問

問題

公道に至るための他の土地の通行権(以下「囲 繞 地通行権」という。)に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記 1 から 5 までのうち、どれか。 ア 他の土地に囲まれて公道に通じない土地(以下「袋地」という。)の所有権を取得した者は、所有権の移転の登記をしなくても、袋地を囲んでいる他の土地(以下「囲繞地」という。)の所有者に対して、囲繞地通行権を主張することができる。 イ 自動車によっては公道に出入りすることができないが、徒歩により公道に出入りすることができる土地の所有者は、その土地を囲んでいる他の土地につき、自動車による通行を前提とする囲繞地通行権を有しない。 ウ 民法第 210 条の規定による囲繞地通行権が認められる場合の通行の場所及び方法は、通行権者のために必要であり、かつ、囲繞地のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。 エ 共有物の分割によって生じた袋地の所有者が、他の分割者の所有地(以下「残余地」という。)について有する囲繞地通行権は、当該残余地について特定承継が生じた場合には、消滅する。 オ Aがその所有する一筆の土地を甲土地と乙土地とに分筆し、甲土地をBに譲渡するのと同時に乙土地をCに譲渡したことによって甲土地が袋地となった場合には、Bは、乙土地以外の囲繞地について囲繞地通行権を有することがある。(参考)民法第 210 条 他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる。2 池沼、河川、水路若しくは海を通らなければ公道に至ることができないとき、がけ又は崖があって土地と公道とに著しい高低差があるときも、前項と同様とする。

選択肢

  1. 1アウ
  2. 2アオ
  3. 3イエ
  4. 4イオ
  5. 5ウエ

正解

1. アウ

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解説

正解は「アウ」(正しいものの組合せ)。 ア=正しい。囲繞地通行権は袋地の所有権に付随してこれと一体不可分の関係にある法定の権利であり、対抗問題を生ずるものではない。したがって袋地の所有権を取得した者は、所有権移転の登記を備えていなくても囲繞地の所有者に対して通行権を主張することができる(最判昭和47年4月14日)。根拠:民法210条 イ=誤り。自動車による通行を前提とする囲繞地通行権の成否及びその具体的内容は、他の土地について自動車の通行を認める必要性、周辺の土地の状況、その土地の所有者が被る不利益等の諸事情を総合考慮して判断すべきである(最判平成18年3月16日)。徒歩で公道に出入りできるからといって、およそ自動車通行を前提とする通行権が認められないわけではない。根拠:民法210条・211条 ウ=正しい。通行の場所及び方法は、通行権者のために必要であり、かつ、他の土地のために損害が最も少ないものを選ばなければならない(民法211条1項)。通行権者の必要と囲繞地所有者の負担との調和を図る趣旨である。根拠:民法211条1項 エ=誤り。共有物の分割又は土地の一部譲渡によって袋地が生じた場合の残余地に対する通行権(民法213条)は、袋地に付着した物権的権利であり、残余地について特定承継が生じても消滅しない(最判平成2年11月20日)。根拠:民法213条 オ=誤り。同一の所有者に属する土地の一部が譲渡されたことにより袋地が生じたときは、袋地の所有者は他の分割者の所有地(残余地)のみを通行することができ、これに対して償金を支払うことも要しない(民法213条2項・1項)。残余地以外の囲繞地を通行することはできないから、乙土地以外の囲繞地について通行権を有することがあるとする点が誤りである。根拠:民法213条 以上より、正しいのはアとウであり、正解は「アウ」となる。(出典: 令和5年度 司法書士試験 午前の部 第8問)

一問一答

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