司法書士に戻る
刑法難易度: 2023年度

司法書士 過去問刑法 第67問

問題

刑法の適用範囲に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものの組合せは、後記 1 から 5 までのうち、どれか。 ア 貿易商を営む外国人Aは、外国人Bから日本での絵画の買付けを依頼され、その代金として日本国内の銀行に開設したAの銀行口座に振り込まれた金銭を、日本国内において、業務のため預かり保管中、これを払い出して、日本人Cに対する自己の借金の返済に費消した。この場合、Aには、我が国の刑法が適用され、業務上横領罪が成立する。 イ 外国人Aは、外国のホテルの客室内において、観光客である日本人Bに対し、けん銃を突きつけて脅した上で持っていたロープでBを緊縛し、反抗を抑圧されたBから現金等在中の財布を強奪した。この場合、Aには、我が国の刑法の適用はなく、強盗罪は成立しない。 ウ 外国人Aは、日本国内で使用する目的で、外国において、外国で発行され日本国内で流通する有価証券を偽造した。この場合、Aには、我が国の刑法が適用され、有価証券偽造罪が成立する。 エ 日本人Aは、外国において、現に外国人Bが住居として使用する木造家屋に放火して、これを全焼させた。この場合、Aには、我が国の刑法の適用はなく、現住建造物等放火罪は成立しない。 オ 外国人Aは、外国において、日本人Bに対し、外国人C名義の保証書を偽造してこれを行使し、借用名下にBから現金をだまし取った。この場合、Aには、我が国の刑法の適用はなく、私文書偽造・同行使・詐欺罪は成立しない。

選択肢

  1. 1アウ
  2. 2アオ
  3. 3イエ
  4. 4イオ
  5. 5ウエ

正解

3. イエ

詳しい解説を見る

解説

正解は「イエ」(誤っているものの組合せ)。刑法の場所的適用範囲は、属地主義(1条)を原則とし、すべての者の国外犯(2条)、国民の国外犯(3条)、国民以外の者の国外犯(3条の2)、公務員の国外犯(4条)という例外が置かれている。 ア=正しい。刑法は、日本国内において罪を犯したすべての者に適用される(刑法1条1項。属地主義)。Aは日本国内の銀行口座から金銭を払い出して費消しているのだから、犯罪地は日本国内であり、行為者が外国人であっても我が国の刑法が適用され、業務上横領罪が成立する。根拠:刑法1条1項、253条 イ=誤り。日本国外において日本国民に対して強盗(刑法236条)等の罪を犯した日本国民以外の者にも、我が国の刑法が適用される(刑法3条の2第6号。保護主義)。外国人Aが国外で日本人Bから強奪した本問では刑法が適用され、強盗罪が成立する。根拠:刑法3条の2、236条 ウ=正しい。有価証券偽造等の罪(刑法162条)は、すべての者の国外犯として、日本国外において罪を犯したすべての者に刑法が適用される(刑法2条5号)。通貨・文書・有価証券に対する罪のうち我が国の取引の安全に直結するものが列挙されており、行為者の国籍や犯罪地を問わない。根拠:刑法2条5号、162条 エ=誤り。現住建造物等放火の罪(刑法108条)は、国民の国外犯として、日本国外においてこの罪を犯した日本国民に刑法が適用される(刑法3条3号)。日本人Aが外国で現住建造物に放火した本問では我が国の刑法が適用され、現住建造物等放火罪が成立する。根拠:刑法3条3号、108条 オ=正しい。私文書偽造・同行使の罪(刑法159条・161条)は刑法2条の列挙に含まれておらず、詐欺罪(刑法246条)も刑法3条の2が列挙する罪に含まれていない。したがって外国人が国外で日本人に対してこれらの罪を犯しても、我が国の刑法は適用されない。根拠:刑法2条、3条の2 以上より、誤っているのはイとエであり、正解は「イエ」となる。(出典: 令和5年度 司法書士試験 午前の部 第24問)

一問一答

全11科目1,000問を科目別に学習

刑法の関連問題

この調子で演習を続けよう

スキマ資格では司書の全1350問を分野別・難易度別に体系的に学習できます。司法書士試験は午前の部(憲法・民法・刑法・会社法商法)と午後の部(民事訴訟法等・供託法・司法書士法・不動産登記法・商業登記法)の択一式に、不動産登記と商業登記の記述式を加えた構成です。受験資格は不要で、行政書士や宅建からのステップアップにも向いています。