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憲法難易度: 標準2025年度

司法書士 過去問憲法 第63問

問題

地方自治に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものの組合せは、後記 1 から 5 までのうち、どれか。 ア 地方自治の本旨のうち住民自治の原則とは、地方の政治は、国から独立した団体に委ねられ、その団体の意思と責任において行われるべきであるとするものである。 イ 憲法上の地方公共団体というためには、事実上住民が経済的文化的に密接な共同生活を営み、共同体意識を持っているという社会的基盤が存在し、かつ、沿革的にみても現実の行政の上においても、地方自治の基本的権能を付与された地域団体であることが必要である。 ウ ある事項について国の法令中にこれを規律する明文の規定がない場合には、その地方の実情に応じて規制を施すことを容認する趣旨であると解されるから、これについて規律を設ける条例の規定が国の法令に違反する問題は生じない。 エ ある事項についてこれを規律する国の法令と条例とが併存する場合であっても、後者が前者とは別の目的に基づく規律を意図するものであり、その適用によって前者の規定の意図する目的と効果を阻害することがないときは、条例の規定が国の法令に違反する問題は生じない。 オ 条例は、地方公共団体の議会の議決を経て制定される自治立法であり、国会の議決を経て制定される法律に類するものであるから、条例で刑罰を定める場合には、法律の授権が相当程度具体的であり、限定されていれば足りる。

選択肢

  1. 1アウ
  2. 2アエ
  3. 3イエ
  4. 4イオ
  5. 5ウオ

正解

1. アウ

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解説

正解は「アウ」。ア=誤り。地方自治の本旨は、国から独立した団体が自らの意思と責任において地方の政治を行うという「団体自治」と、地方の政治が住民の意思に基づいて行われるという「住民自治」の2要素からなる。記述の内容は団体自治の説明であり、これを住民自治としている点が誤り。イ=正しい。最高裁は、憲法上の地方公共団体といいうるためには、単に法律で地方公共団体として取り扱われているだけでは足りず、事実上住民が経済的文化的に密接な共同生活を営み、共同体意識を持っているという社会的基盤が存在し、沿革的にみても現実の行政の上においても、相当程度の自主立法権・自主行政権・自主財政権等地方自治の基本的権能を付与された地域団体であることを必要とすると判示した(最大判昭38・3・27=東京都特別区長事件)。ウ=誤り。徳島市公安条例事件判決は、条例が国の法令に違反するかどうかは、両者の対象事項と規定文言を対比するのみでなく、それぞれの趣旨・目的・内容・効果を比較し、両者の間に矛盾抵触があるかどうかによって決すべきであるとし、国の法令に明文の規定がない場合であっても、当該法令全体からみて、その規定の欠如が特に規制を施すことなく放置すべきものとする趣旨であると解されるときは、これについて規律を設ける条例は国の法令に違反すると判示した(最大判昭50・9・10)。「規律する明文の規定がなければおよそ違反の問題を生じない」とする点が誤り。エ=正しい。同判決は、特定事項について国の法令と条例が併存する場合でも、後者が前者とは別の目的に基づく規律を意図するものであり、その適用によって前者の規定の意図する目的と効果をなんら阻害することがないときは、国の法令に違反しないとした。オ=正しい。最高裁は、条例は住民の公選した議員で組織する議会の議決を経て制定される自治立法であって、行政府の制定する命令等とは性質を異にし、法律に類するものであるから、条例によって刑罰を定める場合には、法律の授権が相当な程度に具体的であり、限定されていれば足りるとした(最大判昭37・5・30=大阪市売春取締条例事件)。したがって誤っているのはアとウである。(出典: 令和7年度 司法書士試験 午前の部 第3問)

一問一答

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