問題
A社は産業用中間財部品を生産する中規模の企業で、機能部門別組織構造を採用している。売上高・利益率ともに3年連続して低下してきたため、コンサルタントに調査・分析を依頼した。社長は事業権限のほとんどを各部長に委譲し部門間調整は週次の業務報告書と電話で行っているとし、研究開発部長は技術力に自信があるが営業から顧客ニーズ情報が入ってこないと述べ、製造部長は研究開発部門の製品をそのまま量産できずデザイン修正が必要と述べ、営業部長は自社製品は品質は高いが価格が高く新製品開発が他社より遅いと述べた。 (設問1)このヒアリングから判断して、A社の組織をどのように分析するか。最も適切なものを選べ。
選択肢
- 1各部門に暗黙知を蓄積するメカニズムがないため、知識創造が適切に行われていない。
- 2各部門のコスト意識が低いために、利益率が低下してきている。
- 3各部門の専門能力は高いものの、それが「訓練された無能(skilled incompetence)」につながり、シングルループ学習が促進される組織文化になっている。
- 4官僚制的組織文化が形成されてきており、部門間の壁が高くなってしまっているため、部門間調整が十分にできていない。
- 5研究開発部門や製造部門に比べて、営業部門の営業力が弱く、収益性の低下につながっている。
正解
3. 各部門の専門能力は高いものの、それが「訓練された無能(skilled incompetence)」につながり、シングルループ学習が促進される組織文化になっている。
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解説
各部門は専門能力が高い一方で、研究開発は技術に固執し営業情報を取り込まず、製造は提案製品をそのままでは量産できず、営業は新製品の遅さや価格を問題視するなど、自部門の前提の中だけで改善を繰り返している。これは専門化が逆に視野を狭める「訓練された無能」と、前提を問い直さないシングルループ学習が支配する組織文化を示しており、ウが最も適切。アの暗黙知蓄積の欠如やイのコスト意識の低さは記述から読み取れず、エの官僚制やオの営業力単独の弱さは問題の本質である部門間連携・学習の欠如を捉えていない。(出典: 一般社団法人 中小企業診断協会 平成19年度 中小企業診断士1次試験 企業経営理論 第19問 設問1)
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