問題
A 株式会社(以下「A 社」という。)は、B 株式会社(以下「B 社」という。)から、携帯電話上に表示される B 社ホームページのサイト運営に使用する目的で、ソフトウェアに関する開発業務の委託を受け、新規にプログラミングをしたソフトウェア X を2000年12月15日に B 社に納入し、その代金を受領した。 しかし、B 社が A 社に無断で、この X を B 社ホームページのサイトから切り離して、パソコン上でも利用できるように改変したソフトウェア Y を2007年12月から製造し、これをコピーして一般消費者に販売しているという事実が、最近、判明した。 A 社・B 社いずれにも、既に開発業務委託を受けた当時の詳細を知るものはおらず、開発業務委託契約についての書面も、2000年2月1日付けの B 社からの簡単な発注書以外には残っていない。当該発注書には「使途:B 社ホームページのサイト運営」との記載がある。 この場合、A 社が取りうる手段について最も適切なものはどれか。
選択肢
- 1A 社が X について有する著作権のひとつである翻案権を根拠に、B 社に対して Y の販売差し止めの請求をする。
- 2A 社が Y について有する著作権のひとつである複製権を根拠に、B 社に対して損害賠償の請求をする。
- 3B 社の秘密情報に関する秘密保持義務違反という債務不履行を根拠に、B 社に対して損害賠償の請求をする。
- 4ソフトウェアの開発委託については、著作権法の規定により、その著作権が発注者(この場合は B 社)に帰属することとされているので、B 社に対してなんら請求することはできない。
正解
1. A 社が X について有する著作権のひとつである翻案権を根拠に、B 社に対して Y の販売差し止めの請求をする。
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解説
最も適切なのは、X について有する翻案権を根拠に Y の販売差止めを請求するという手段です。プログラムの著作権は、創作した者(受託して開発した A 社)に原始的に帰属します。発注書には「使途:B社ホームページのサイト運営」とあるだけで著作権譲渡の合意は認められないため、X の著作権は A 社にあります。B 社が無断で X を改変して Y を製造する行為は、A 社の翻案権(著作権法第27条)の侵害にあたり、A 社は翻案権を根拠に Y の販売差止めを請求できます。「A 社が Y について有する複製権」を根拠とする選択肢は、Y は B 社が無断で改変したものであり A 社が Y の著作権を有するとはいえない点が不正確です。秘密保持義務違反を根拠とする選択肢はその事実が認められず誤り、著作権が当然に発注者(B社)に帰属するので何も請求できないとする選択肢は誤った前提に立っており誤りです。(出典: 一般社団法人 中小企業診断協会 平成20年度 中小企業診断士1次試験 経営法務 第11問)
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