問題
平成20年4月1日、中小企業診断士であるあなたは、顧客から以下の相談を受けた。 このときのあなたの回答として最も適切なものを下記の解答群から選べ。 【相談概要】 平成20年3月10日、父親が死去した。父親は事業(個人事業)を行っていたが、その事業は長男が継ぐことになっている。父の事業は必ずしもうまくいっているわけではなく、若干だが、資産よりも負債の方が多いようだ。次男である私は独自で生計を立てているので、父の負債を一切相続しないようにしたい。
選択肢
- 1あなただけがお父様の負債を相続しないようにするには、家庭裁判所で相続放棄の手続をとらなければいけません。相続放棄の期間は、原則として、相続開始があったことを知ってから3か月以内ですから、急いだ方がよいと思います。
- 2お父様がお亡くなりになってから、100日以内に家庭裁判所で限定承認の手続をとれば、資産があったときだけ返済すればよいことになりますから、他の相続人の方が反対しても、お一人でその手続をとられた方がよいでしょう。
- 3現時点で、あなたはお父様の事業には何も関与されていませんから、お父様の負債を負うことは法律上あり得ません。どうしても、気になるのであれば、念のため、お父様の負債だけ放棄する手続を家庭裁判所でとればよいと思います。
- 4相続人全員で遺産分割協議を行って、ご長男が全部相続することにすれば、法律上負債も当然にご長男が相続されたことになって、あなたがお父様の負債を負うことはありませんので、これからゆっくり遺産分割協議を行えばよいと思います。
正解
1. あなただけがお父様の負債を相続しないようにするには、家庭裁判所で相続放棄の手続をとらなければいけません。相続放棄の期間は、原則として、相続開始があったことを知ってから3か月以内ですから、急いだ方がよいと思います。
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解説
次男のみが負債を負わないようにするには、相続放棄(民法第938条)が適切です。相続放棄は各相続人が単独で行え、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所に申述する必要があります(民法第915条)。よって「家庭裁判所で相続放棄の手続をとる」ことを勧める回答が正しいです。限定承認を勧める回答は、限定承認が相続人全員で共同して行う必要があるため「お一人で」が誤りで、期間も100日ではなく3か月以内です。「負債を負うことは法律上あり得ない」とする回答は、相続人である以上、当然に債務も相続するため誤りで、「負債だけ放棄」する手続もできません。遺産分割協議で長男に全部相続させればよいとする回答は、長男が債務を負うと合意しても、債権者の同意がなければ各相続人が法定相続分に応じて債務を負い、債権者に対抗できないため誤りです。(出典: 一般社団法人 中小企業診断協会 平成20年度 中小企業診断士1次試験 経営法務 第2問)
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