問題
これまで高い評判を受けていたメーカーの製品が、あるとき、急にその評判を落としてしまうことがある。評判を落とす直接的な原因は、顧客からのクレームの多発やクレーム対応のまずさなどであるが、クレームが発生するまでに、しばしば既に企業内部に幾多の問題が潜んでいることがある。また、問題が発生する状況は業種によって異なることが多い。次の記述のうち、クレームを発生させる可能性が最も高いものはどれか。
選択肢
- 1ある家電メーカーでは、部品の標準化やモジュール化を徹底して製品の構造設計の簡素化を推し進めながら、製品検査とクレーム対応の現地化を図るために、海外の生産拠点での仕様の一部変更を認めるようにした。
- 2技術の分かるマネジャーによる市場対応を図るために、生産技術に支障がないように注意して、エンジニアリング部門から営業部門や事務部門への配置転換を進めている。
- 3これまでクレーム等の消費者対応はすべて本社での対応であったが、販売増大とともに事務処理が滞るようになったので、クレーム情報は本社に報告するが、重大なクレーム以外の日常的な消費者対応は営業拠点に委ねることにした。
- 4自社の清涼飲料水の売り上げが急拡大しているので、自動化ラインの工場を立ち上げて、従業員を募って量産体制に入った。
- 5高い品質で知られる中堅部品メーカーでは、収益性をさらに高めるべく、手間とコストのかかる品質検査を公的検査機関に依頼するとともに、賃金の高い熟練技術者に代わって若手従業員を新規に雇用し、個々の業績評価を賃金に連動させるように人的資源戦略を転換した。
正解
5. 高い品質で知られる中堅部品メーカーでは、収益性をさらに高めるべく、手間とコストのかかる品質検査を公的検査機関に依頼するとともに、賃金の高い熟練技術者に代わって若手従業員を新規に雇用し、個々の業績評価を賃金に連動させるように人的資源戦略を転換した。
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解説
クレームを発生させる可能性が最も高いのはオ。高品質で知られる中堅部品メーカーが、(1)手間のかかる品質検査を公的検査機関に外部委託、(2)賃金の高い熟練技術者を若手従業員に置き換え、(3)個別業績評価による賃金連動を一斉導入、という3つの変革を同時に行うことは、品質を支えてきた組織能力(暗黙知・熟練・現場での即応的判断)を一気に毀損する典型例である。とくに熟練技術者から若手への切り替えと業績主義の同時導入は、現場でのノウハウ継承を断絶させ、短期成果志向で品質維持の優先順位が下がる結果を招きやすい。アは標準化と仕様変更の組み合わせだが現地化はクレーム対応の改善策の一つで、相対的にリスクは低い。イは配置転換だが生産技術への配慮を明記している。ウは段階的な権限委譲で重大クレームは本社対応を維持している。エは自動化と量産化で標準的なスケール戦略。よってオが最もリスクが高い。(出典: 一般社団法人 中小企業診断協会 平成22年度 中小企業診断士1次試験 企業経営理論 第1問)
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