問題
(設問3)X 社はパソコン市場への参入に際して、自社の資源・能力の特異性であるデザイン創造力を考慮し、パソコンの「本体のサイズ」と「マルチメディア対応度」をもとに消費者の知覚マップを作成した。他のメーカーの製品導入状況を分析しながら、自社製品のポジショニングの検討を行っている。この段階で用いられている資料は下図のとおりである。この図をもとに X 社が計画している新製品開発とそのポジショニングについての記述として、最も不適切なものを下記の解答群から選べ。 なお、図中の小さな四角(■)は消費者の選好分布を、白抜きの大きな四角(□)は、他のメーカーによる既存製品のポジショニングを示している。X 社が開発を検討している製品が想定するポジションは図中の大きな丸印(〇)によって表示されている。図中の縦軸はマルチメディア対応度の高低を、横軸は本体サイズ(本体を設置した時の容積)の大小を指している。

選択肢
- 1X 社が開発を検討している製品はインテリア性が高く、家庭のリビングルームに設置し、テレビの地上デジタル放送の視聴や音楽ファイルの再生、電子マネーをつかったインターネット・ショッピングが可能なだけでなく、仕事や勉強にも快適に活用できるスペックを備えている。
- 2X 社のポジショニング計画は、いわゆるブルー・オーシャン(Blue Ocean)戦略としてとらえられるが、その市場成果はここでのブランド化によって吸収可能な消費者の数に依存している。
- 3X 社は、種々の汎用部品を用いてコンパクトでスタイリッシュなシェル(筺体)仕様にすることにしたが、その際の大幅な費用増を相殺するために、パソコン用液晶ディスプレイ・メーカーと長期契約を交わし、特定モデルの液晶部品を割引価格で調達しようとしている。
- 4X 社は競争相手による対応が行われていない未開拓のニーズに着目し、多機能がコンパクトにビルトインされた小型製品を開発し、象限IIの標的市場での早期の製品普及後、象限Iの大規模市場からの遷移顧客の獲得を企図している。
- 5マップ上の象限Iに位置する企業は象限IIにも参入することが可能である。したがって、X 社には先発の利益を獲得・維持するための工夫が必要とされる。
正解
3. X 社は、種々の汎用部品を用いてコンパクトでスタイリッシュなシェル(筺体)仕様にすることにしたが、その際の大幅な費用増を相殺するために、パソコン用液晶ディスプレイ・メーカーと長期契約を交わし、特定モデルの液晶部品を割引価格で調達しようとしている。
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解説
図に示される X 社の計画は、象限II(マルチメディア対応度高×本体サイズ小)への参入であり、現在の競合製品(象限I:マルチメディア対応度高×本体サイズ大、象限IV:マルチメディア対応度低×本体サイズ大)とは異なる未開拓のポジションを狙うブルー・オーシャン戦略である。「コンパクトでスタイリッシュなシェル仕様」を実現するためには通常の汎用部品ではなく専用設計や高品位の素材・部品が必要となり、コスト増は避けられない。本選択肢ウでは、その費用増の相殺策として「パソコン用液晶ディスプレイ・メーカーと長期契約を交わし、特定モデルの液晶部品を割引価格で調達」とあるが、これは標準モデルの液晶部品を量産品として低価格で調達する話であり、X 社が目指す「コンパクトで革新的な家電」に必要な特殊液晶(特殊サイズ・特殊形状・高解像度・特殊インターフェース等)の調達戦略にはなり得ない。コンパクト・スタイリッシュ路線と標準モデル液晶の長期契約は整合性が低く、コスト相殺策としても根拠が薄い。よってウが最も不適切。アは X 社の開発製品の機能・用途想定として象限IIのポジションと整合的で適切。イはブルー・オーシャン戦略の市場成果と市場規模依存性の指摘で適切。エは未開拓ニーズへの先行参入と象限I からの遷移顧客獲得の戦略で適切。オは象限I企業による象限II 参入の可能性と、先発利益確保のための工夫の必要性の指摘で適切。(出典: 一般社団法人 中小企業診断協会 平成22年度 中小企業診断士1次試験 企業経営理論 第29問 設問3)
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