問題
いま、家電量販店であるX社とY社が存在し、両社は同質財を同一価格で店頭販売している。ここで、同質財を他社が自社よりも安く販売したときに自社は他社の価格で販売するという「最低価格保証」をX社が宣言したとする。 このときの状況として最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。 a Y社が価格を引き下げた場合、X社も同じだけ価格を引き下げることになり、Y社はX社の顧客を奪うことができない。 b Y社は何らの対抗措置を採らなくてもX社の顧客を奪うことができる。 c Y社も「最低価格保証」を宣言した場合、両社間の価格引き下げ競争が激化する。 d Y社も「最低価格保証」を宣言した場合、両社ともに価格を引き下げる誘因が弱くなる。
選択肢
- 1aとc
- 2aとd
- 3bとc
- 4bとd
正解
2. aとd
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解説
正解はイ(aとd)である。一見すると消費者保護策に見える「最低価格保証(price matching guarantee)」は、ゲーム理論的にはむしろ「暗黙の協調(tacit collusion)」を促進し、価格カルテルを実現させる装置として機能することが知られている。 a は正しい。X 社が最低価格保証を宣言している状況で Y 社が価格を引き下げても、X 社は自動的に Y 社と同じ価格に追随する。よって Y 社の値下げは X 社の顧客を奪う効果を持たず、価格引き下げによる売上拡大の誘因が失われる。 d は正しい。両社が最低価格保証を宣言すると、どちらか一方が値下げしても他方が直ちに同水準に追随するため、値下げによる先行者利益が消える。結果として両社ともに「相手が下げても自分は下がる、相手が高いままなら自分も高いまま」となり、値下げの誘因が弱くなる。これは結果的に高価格均衡(カルテル価格)を維持しやすくする効果がある。 b は誤り。X 社が最低価格保証を宣言している以上、Y 社が単純に値下げしても X 社が即座に追随するため、Y 社は X 社の顧客を奪えない(a と矛盾)。 c は誤り。両社が最低価格保証を宣言すると価格引き下げ競争は「激化」ではなく「緩和」される。これは独禁法・競争政策上、最低価格保証が問題視されることがある理由である。 (出典: 一般社団法人 中小企業診断協会 平成23年度 中小企業診断士1次試験 経済学・経済政策 第23問)
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