問題
(設問2)文中の下線部(内部成長方式による多角化)で指摘されているような M&A が成功するために注意すべき経営上の課題についての記述として、最も不適切なものはどれか。
選択肢
- 1M&A で企業規模が大きくなれば、獲得した規模の経済性や市場支配力の便益を上回る管理コストが発生する可能性が高まるので、管理コストの削減を図るとともに、そのことによって経営の柔軟性が失われないように注意する必要がある。
- 2企業間のベクトルをあわせて統合するには、それぞれの企業で培われてきた企業文化の衝突を避け、互いを尊重しつつ、1つの企業体に融合することを図ることが重要になる。
- 3買収先の企業の主要なスタッフの離職が多くなると、マネジメント能力や専門的な知識や技能などの人的資源が損なわれて組織能力が弱くなるので、買収先の企業の従業員の賃金や待遇を手厚くすることを怠らないようにすることが必要である。
- 4買収戦略にのめりこむと、買収先企業を適切に評価することがおろそかになり、高いプレミアム価格を相手に支払ったり、高いコストの借り入れや格付けの低い社債の過度な発行などが起こりやすく、大きな負債が経営危機を招きやすくなることに注意が必要である。
- 5買収によって新規事業分野をすばやく手に入れることは、イノベーションによる内部成長方式の代替であるので、M&A の成功が積み重なるにつれて、研究開発予算の削減や内部開発努力の軽視の傾向が強まり、イノベーション能力が劣化しやすくなることに注意が必要である。
正解
3. 買収先の企業の主要なスタッフの離職が多くなると、マネジメント能力や専門的な知識や技能などの人的資源が損なわれて組織能力が弱くなるので、買収先の企業の従業員の賃金や待遇を手厚くすることを怠らないようにすることが必要である。
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解説
買収先の主要スタッフの離職を防ぐ施策として「賃金や待遇を手厚くする」ことに偏重すると、既存社員との待遇格差や金銭的インセンティブ依存などの新たな歪みを生む。実際の人的資源マネジメントでは、報酬以外にも企業文化の融合・キャリアパスの提示・心理的安全性の確保など多面的な施策が必要であり、賃金・待遇の優遇のみを強調するウは最も不適切。アは管理コストと柔軟性のバランスを取るべきという論点で適切。イは企業文化衝突回避と統合の重要性で適切。エは買収プレミアム過大支払と過剰負債のリスクで適切。オは M&A 依存による内部開発軽視とイノベーション能力劣化の警鐘で適切。(出典: 一般社団法人 中小企業診断協会 平成23年度 中小企業診断士1次試験 企業経営理論 第2問 設問2)
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