問題
次の M&A に関する文章を読んで、下記の設問に答えよ。 わが国では以前は欧米に比べて M&A が盛んに取り組まれたとは言い難かった。むしろわが国企業では、M&A よりも内部成長方式による多角化を用いることが多かった。 しかし、近年わが国の企業の M&A は国内のみならず海外でも活発化している。そればかりか、それとは逆に海外企業によるわが国企業の M&A も多く見られるようになった。 M&A の方式は多様であり、どのような M&A に取り組むかは、その目的や企業の戦略によって異なってくる。また、企業の業績に貢献する M&A であるためには、M&A に関する経営上の課題に対処することが重要である。 (設問1)文中の下線部(内部成長方式による多角化)について、多角化と M&A に関する特徴や問題点の記述として、最も不適切なものはどれか。
選択肢
- 1開発された技術をてこに新規事業が増えるにつれて、社内でシナジー効果を追求する機会が高まるが、シナジー効果が成長にうまく結び付かない場合、多角化を維持するための費用がかさんだり、多様な事業をマネジメントするコストが大きくなるという問題がある。
- 2グリーンメーラー的な投機的な投資家や企業価値の実現による配当を迫る投資ファンドの動きが活発になると、企業はそれらに狙われないように企業防衛の姿勢を強めようとするため、M&A も少なくなりがちである。
- 3成長の牽引力となる技術が枯渇してくると、新規な技術による事業機会も少なくなりがちであり、技術イノベーションによる多角化戦略は困難になる。
- 4長期雇用慣行等に支えられて従業員のみならず経営者も会社への一体感が強くなると、このような企業が M&A の対象になった場合、お家の一大事と受け止められ、会社ぐるみで M&A に抵抗する動きが生じやすい。
- 5貿易摩擦等の外圧に押されて企業の海外進出が活発になると、国内での生産技術開発や新製品開発が回避され、内部成長方式による多角化戦略は機能しなくなる。
正解
5. 貿易摩擦等の外圧に押されて企業の海外進出が活発になると、国内での生産技術開発や新製品開発が回避され、内部成長方式による多角化戦略は機能しなくなる。
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解説
貿易摩擦などの外圧で海外進出が活発になることと、国内での生産技術開発・新製品開発による内部成長方式の多角化が機能しなくなることは必然的な因果関係を持たない。海外進出と並行して国内の研究開発を強化する企業も多く、両者は二者択一ではなく補完的に展開されるのが通例である。よってオの記述は最も不適切。アはシナジー追求と多角化管理コストの増大というトレードオフの説明で適切。イは投機的投資家への防衛姿勢が M&A 抑制に働くという論点で適切。ウは技術枯渇期に内部成長型多角化が困難になるという指摘で適切。エは長期雇用慣行下での被買収抵抗の典型例で適切。(出典: 一般社団法人 中小企業診断協会 平成23年度 中小企業診断士1次試験 企業経営理論 第2問 設問1)
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