問題
次のケースを読み、あなたが A 社のコンサルタントとして診断するとすれば、経営者への助言として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。 「創業以来、個性的な開発者による小規模なプログラムの受注開発を請け負ってきた A 社は、その成長とともに、次第により大きな規模の企業から複雑なプログラムの開発を受注するように主な事業ドメインをシフトしてきた。従業員数も急激に増加してきたが、5年ほどたつと、取引先企業のコスト削減要求が強くなり、一方で競争も激化し、売上高の伸び率も鈍化してきた。それまで開発者同士を切磋琢磨させるために導入していた個人へのインセンティブシステムを廃止し、従業員も削減し始めた。またこの時期から、創業当初からいた個性的な開発者たちが次々と A 社を辞職していき、利益率も悪化し始めた。 そこで A 社は、個人へのインセンティブシステムを復活させ、従業員のモチベーションを高めようと組織改革に取り組んだ。しかし、取引先企業からは納期の遅れや品質面での苦情が多数寄せられるようになり、その修復にコストがかかるようになり、一時的に利益率は回復したものの、その後、かえって利益率は低下してしまった。」
選択肢
- 1開発者たちの創造性を高めるため、個人へのインセンティブの幅を大きくし、従業員間の競争を促進する。
- 2個人へのインセンティブの幅を小さくし、プロジェクト単位での顧客満足度を報酬に反映させるようにする。
- 3従業員を削減し、個人の責任を明確にするとともに、個人へのインセンティブの幅を大きくする。
- 4職務のルーティン化を進め、個人へのインセンティブの幅を削減し、人件費総額を圧縮する。
- 5創業当初からいた個性的な開発者たちを A 社に戻すため、特別の給与体系を用意する。
正解
2. 個人へのインセンティブの幅を小さくし、プロジェクト単位での顧客満足度を報酬に反映させるようにする。
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解説
A 社は事業ドメインを小規模プログラムの受注から大規模・複雑プログラム開発にシフトしている。大規模開発では個人プレーよりもチームでの協業・連携が重要となるため、個人インセンティブを強化して個人競争を煽る方策は、納期遅れや品質苦情を生んでいる現状にそぐわない。代わりに、プロジェクト単位での顧客満足度を評価指標としチーム成果に報酬を連動させることで、協業を促し品質・納期改善につなげる戦略が有効である。よってイが最も適切。アは個人インセンティブ強化で再び個人プレー化し問題悪化を招くので誤り。ウは従業員削減と個人インセンティブ強化の組み合わせは現状の問題を解決しないため誤り。エはルーティン化と人件費圧縮で創造性が低下し、複雑プログラム開発に支障をきたすため誤り。オは退職者の呼び戻しは創造性回復に寄与し得るが、組織全体の構造問題(個人プレー vs チーム連携)に対する解決にはならないため最も適切とは言えない。(出典: 一般社団法人 中小企業診断協会 平成23年度 中小企業診断士1次試験 企業経営理論 第20問)
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