問題
いま、企業Aが個人Bに対して負の外部性を発生させる財を生産している。下図は、企業Aの私的限界費用の上方に個人Bへの影響を考慮した社会的限界費用が描かれており、線分Eの長さは限界的な外部性の大きさを表している。当該財の価格がPで一定であるとすれば、自由放任の状況下で外部性を考慮しない場合の企業Aが選択する合理的な生産量はQ2、外部性を考慮して社会的余剰を最大にする場合の生産量がQ1となる。なお、図中のCとDは線で囲まれた範囲の三角形の面積を表すものとする。 この図に関する説明として、最も不適切なものを下記の解答群から選べ。

選択肢
- 1現状で生産量Q2が選択されているとき、コースの定理によれば、企業Aと個人Bの自発的な交渉が可能であれば生産量Q1が選択される。
- 2自由放任の状況下で外部性を考慮しない場合の企業Aが選択する生産量Q2は、2つの三角形の面積の合計(C+D)に相当する死重損失を生む。
- 3数量規制によって生産量がQ2からQ1へ減少する場合、企業Aは、面積Cに相当する分だけ余剰が減少する。
- 4生産量がQ2からQ1へ減少する場合、個人Bは、2つの三角形の面積の合計(C+D)に相当する分の外部不経済を被らずに済む。
正解
2. 自由放任の状況下で外部性を考慮しない場合の企業Aが選択する生産量Q2は、2つの三角形の面積の合計(C+D)に相当する死重損失を生む。
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解説
負の外部性と死荷重(dead-weight loss)の問題。「最も不適切」を選ぶ。 ア:コースの定理によれば、取引費用がゼロで権利が明確に定義されていれば、当事者間の自発的交渉で社会的に最適な生産量Q1が実現される。これは正しい。 イ:自由放任での生産量Q2に伴う死重損失(社会的余剰の損失)は、社会的限界費用と価格Pの差を、Q1からQ2の間で積分した三角形の面積、すなわち「面積D」のみである(社会的限界費用>価格となる部分)。「C+D」は誤り。Cは生産者余剰の一部であり、これは社会的損失ではなく企業Aの余剰の一部に過ぎない。よってイが「最も不適切」。 ウ:生産量がQ2からQ1に減少すると、企業Aは(Q1〜Q2区間での価格と私的限界費用の差)に相当する生産者余剰を失う。これは面積Cに対応する。よって正しい。 エ:生産量がQ1まで減ると、Q1〜Q2区間で発生していた外部不経済(個人Bが被る損失:社会的限界費用と私的限界費用の差)が発生しなくなる。この面積はC+Dに対応する。よって正しい。 したがって「最も不適切」はイ。死重損失と各主体の余剰変化の関係を区別して理解することが大事。(出典: 一般社団法人 中小企業診断協会 平成24年度 中小企業診断士1次試験 経済学・経済政策 第21問)
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