問題
選択肢
- 1AからBが買い受けた土地をBからCが買い受けたところ、AがBの債務不履行を理由にAB間の売買契約を解除した場合、Aが背信的悪意者のような場合でない限り、Cは、登記を得なければAに対して自らの所有権を主張できない。
- 2自宅の工事を発注した施主が発注後に死亡した場合、施主の共同相続人は、請負契約で定められた工期を遅延したまま督促しても工事完了の見込みが立たない請負業者に対して、特約がない限り、法定相続分に応じて個別に解除権を行使できる。
- 3商人間の売買でなくても、債務者に履行の意思がないことが明らかであれば、履行遅滞を理由とする債務不履行解除には催告を必要としない。
- 4特定物の売買契約における売主のための保証人は、反対の特約がない限り、契約解除による売買代金の返還義務についての保証の責任を負わない。
正解
1. AからBが買い受けた土地をBからCが買い受けたところ、AがBの債務不履行を理由にAB間の売買契約を解除した場合、Aが背信的悪意者のような場合でない限り、Cは、登記を得なければAに対して自らの所有権を主張できない。
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解説
アが正解。判例(最判昭和35年11月29日等)は、債務不履行解除の効果について直接効果説(遡及効)を採り、解除前に解除原因のあることを知らずに目的物の権利を取得した第三者Cは民法545条1項ただし書きで保護されるが、自己の権利を主張するには対抗要件としての登記を備える必要があるとする。これは「解除前の第三者」に関する確立した判例理論で、Aが背信的悪意者でない限り、第三者Cは登記なくしてAに所有権主張できない(背信的悪意者排除論は存在するが、原則として対抗関係に立つ)。 イは誤り。解除権は不可分性をもち、当事者が数人ある場合は全員から又は全員に対してのみ行使できる(民法544条1項、不可分の原則)。共同相続人による解除でも、全員で行使する必要があり「法定相続分に応じて個別に解除権を行使」することはできない。 ウも誤り。出題当時の民法541条は履行遅滞による解除に「相当の期間を定めて催告」を要件としていた。商法525条のような無催告解除規定があるのは「商人間の確定期売買」など限定的な場面のみで、一般民事の履行遅滞解除では「履行の意思がないことが明らか」というだけで催告が省略できるわけではない(履行不能や明確な履行拒絶は別途無催告解除が認められうるが、本選択肢の表現は不正確)。 エも誤り。判例(最判昭和40年6月30日)は、売主のための保証人は売主の債務不履行による解除に伴う原状回復義務(代金返還等)にも保証責任を負うとする。反対特約のない限り、代金返還義務も保証の範囲に含まれる。(出典: 一般社団法人 中小企業診断協会 平成26年度 中小企業診断士1次試験 経営法務 第14問)
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