問題
選択肢
- 1債務者が債権者を害することを知ってした5年前の法律行為を債権者が知ってから2年が経過するまでは、債権者は詐害行為取消請求に係る訴えを提起することができる。
- 2債務者が第三者に対して有する債権をもって債権者の一部の者に代物弁済した場合、代物弁済に供した債権額が消滅した債務額を超過していなければ、他の債権者に対して詐害行為とはならない。
- 3詐害行為によって譲渡された不動産が受益者から転得者へ譲渡され、詐害行為について受益者は悪意であるが転得者は善意である場合、債権者は詐害行為取消権を行使することができない。
- 4新設分割会社が新設分割設立株式会社に承継されない債務の債権者を害することを知って新設分割をした場合、当該債権者は、その新設分割設立株式会社に対し、承継しなかった財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求できる。
正解
1. 債務者が債権者を害することを知ってした5年前の法律行為を債権者が知ってから2年が経過するまでは、債権者は詐害行為取消請求に係る訴えを提起することができる。
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解説
アが適切。詐害行為取消請求に係る訴えは、債務者が債権者を害することを知って行為をしたことを債権者が知った時から2年を経過したとき、又は行為の時から10年を経過したときは、提起することができない(民法426条・出訴期間)。5年前の行為であれば行為の時から10年は経過していないので、債権者が知ってから2年が経過するまでは訴えを提起できる。イは不適切。債務超過の状態にある債務者が、他の債権者を害することを知りながら特定の債権者と通謀し、その債権者だけに優先的に満足を得させる意図で、債務の弁済に代えて第三者に対する自己の債権を譲渡した場合は、譲渡した債権の額が消滅した債務の額を超えないときでも詐害行為として取消しの対象になる(最判昭和48年11月30日)。現行民法でも、代物弁済などの債務の消滅に関する行為は、債務者が支払不能の時に(債務者の義務に属しない行為などは支払不能になる前30日以内に)、債務者と受益者とが通謀して他の債権者を害する意図をもって行ったものであれば詐害行為取消請求の対象となり(民法424条の3)、受益者の受けた給付の価額が消滅した債務の額より過大な部分は、これとは別に取り消すことができる(同法424条の4)。ウは不適切。受益者が悪意であれば、転得者が善意でも、債権者は受益者に対して詐害行為取消請求をすることができ、受益者が財産を返還できないときは価額の償還を請求できる(民法424条・424条の6第1項)。転得者に対する詐害行為取消請求が転得者の悪意を要件とする(同法424条の5)にとどまる。エは不適切。新設分割会社が残存債権者(新設分割設立株式会社に承継されない債務の債権者)を害することを知って新設分割をした場合、残存債権者は新設分割設立株式会社に対して、「承継した財産の価額」を限度として債務の履行を請求できる(会社法764条4項)。「承継しなかった財産の価額」ではない。【法改正】出題当時の民法426条は「債権者が取消しの原因を知った時から2年間行使しないときは時効によって消滅する。行為の時から20年を経過したときも同様とする」と定めていたが、平成29年法律第44号による改正(2020年4月1日施行)で、上記の2年・10年の出訴期間に改められた。アは5年前の行為なので改正後も適切で、公式の正解(ア)は変わらない。(出典: 一般社団法人 中小企業診断協会 平成28年度 中小企業診断士1次試験 経営法務 第14問)
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