「読み返す」より「思い出す」——検索練習が記憶に効く理由
読み返しは“覚えた感じ”を生むが記憶には残りにくい。思い出す=検索練習がなぜ効くのか、資格勉強への落とし込み方を解説。
資格の勉強で、テキストやノートを何度も読み返す。多くの人がやっている方法ですし、私自身もそうでした。読み返すと「わかった」という手応えがあるので、安心感もあります。
ところが記憶研究の知見では、この「読み返し」はかけた時間のわりに記憶に残りにくい、と分かっています。代わりに効くのが、思い出すこと。一度本を閉じて「あれは何だったか」と自分の頭から引っ張り出す——この作業を「検索練習(retrieval practice)」と呼びます。
「覚えた感じ」と「実際に覚えている量」はズレる
よく知られているのが、レディガーとカーピキの研究(Roediger & Karpicke, 2006)です。学習者を2グループに分け、片方は文章を繰り返し読み、もう片方は読んだあとに思い出すテストを受けました。
直後の手応えでは、読み返したグループの方が「よく覚えている」と感じていました。ところが1週間後にもう一度テストすると、結果は逆転します。思い出す練習をしたグループの方が、はっきり多くの内容を覚えていたのです。
ここが落とし穴です。読み返しは“覚えた感じ”を生みますが、それは実際の記憶の強さとはしばしばズレています。手応えのある勉強が、必ずしも残る勉強とは限らない、ということです。
なぜ「思い出す」と残るのか
カーピキらは別の研究で、長期的な記憶を決めるのは「何回読んだか」ではなく「何回思い出したか」だと示しています(Karpicke & Roediger, 2008)。
仕組みはシンプルです。思い出そうと頭をひねる、その負荷そのものが記憶の手がかりを強くします。すらすら読めてしまう再読では負荷がかからず、記憶はあまり鍛えられません。少し苦しくても自力で引き出す——その一手間が効くわけです。
資格勉強への落とし込み
やること自体は難しくありません。
- テキストを読んだら、いったん閉じて「要点は何だったか」を自分で言ってみる。
- ノートを“眺める”のではなく、隠して“思い出す”。
- そして一番手軽で確実なのが、問題を解くこと。問題を解く行為は、それ自体が「思い出す練習」です。
正解できたかどうかは二の次で構いません。思い出そうとした時点で記憶は鍛えられていますし、間違えた直後に解説を読めば、その知識はむしろ定着しやすくなります。
まずは、思い出す練習を一度
理屈を知っても、やってみないと実感はわきません。まずは1問でも、思い出す勉強を試してみてください。
そのために用意しているのが、スキマ資格の記憶定着問題です。「解く(=思い出す)→すぐ解説で答え合わせ」をくり返すだけのシンプルな演習で、検索練習をそのまま形にしています。完全無料で、
- 解いた問題の正誤が記録され、
- 間違えた問題だけを選んで復習でき、
- しばらく解いていない問題が、忘れた頃にまた出てくる(間隔反復)
ので、「思い出す → 忘れた頃にまた思い出す」という、記憶に最も効く流れを自然に回せます。
読み返して安心する勉強から、思い出して鍛える勉強へ。まずは1問、試してみてください。
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参考文献
- Roediger, H. L., & Karpicke, J. D. (2006). Test-enhanced learning: Taking memory tests improves long-term retention. Psychological Science, 17(3), 249–255.
- Karpicke, J. D., & Roediger, H. L. (2008). The critical importance of retrieval for learning. Science, 319(5865), 966–968.