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民法難易度: 標準2021年度

司法書士 過去問民法 第346問

問題

占有訴権に関する次のアからオまでの記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは,後記 1 から 5 までのうち,どれか。 ア Aが占有する動産甲をBが盗み,その事情を知っているCがこれをBから買い受けた場合には,Aは,Cに対し,占有回収の訴えにより,動産甲の返還を請求することができる。 イ Aがその占有する動産甲を公園で紛失し,Bがこれを拾得した場合には,Aは,Bに対し,占有回収の訴えにより,動産甲の返還を請求することができる。 ウ Aがその所有する動産甲をBに賃貸したが,Bが賃貸借契約終了後も動産甲を返還しなかったため,AがBに無断で動産甲の占有を取り戻した場合には,Bは,Aに対し,占有回収の訴えにより,動産甲の返還を請求することができる。 エ Aが占有する動産甲をBが盗んだが,Aが適法に動産甲の占有を取り戻した場合には,Aは,Bに対し,占有回収の訴えにより,占有侵害により生じた損害の賠償を請求することができない。 オ 法人Aの代表者BがAの業務として所持する動産甲をCが盗んだ場合には,Bが自己のためにも動産甲を所持していると認めるべき事情があるときであっても,Bは,個人としては,Cに対し,占有回収の訴えにより,動産甲の返還を請求することができない。

選択肢

  1. 1アウ
  2. 2アエ
  3. 3イエ
  4. 4イオ
  5. 5ウオ

正解

1. アウ

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解説

正解は「アウ」(正しいものの組合せ)。 ア=正しい。占有回収の訴えは、占有を侵奪した者の特定承継人に対して提起することができないが、その承継人が侵奪の事実を知っていたときはこの限りでない(民法200条2項)。Cは盗品であることを知って買い受けているから、Aは占有回収の訴えにより動産甲の返還を請求することができる。根拠:民法200条 イ=誤り。占有回収の訴えは占有を「侵奪」された場合に認められるものであり、占有者が自らの意思によらずに占有を失った場合であっても、遺失のように他人の行為によって奪われたのでないときは侵奪に当たらない。したがって拾得者Bに対して占有回収の訴えを提起することはできない。根拠:民法200条1項 ウ=正しい。占有の訴えについては本権に関する理由に基づいて裁判をすることができない(民法202条2項)。所有者であるAが自力で占有を取り戻す行為は占有の侵奪に当たるから、賃借人であったBは占有回収の訴えにより動産甲の返還を請求することができる。自力救済を禁ずる趣旨である。根拠:民法200条1項、202条2項 エ=誤り。占有回収の訴えでは、その物の返還及び損害の賠償を請求することができる(民法200条1項)。既に占有を取り戻していて返還を求める必要がない場合であっても、侵奪により生じた損害の賠償を請求することは妨げられない。根拠:民法200条1項 オ=誤り。法人の代表者が法人の業務として物を所持する場合であっても、その者が自己のためにも所持していると認めるべき事情があるときは、代表者個人も占有者として占有訴権を行使することができる(最判昭和32年2月15日)。根拠:民法180条、200条 以上より、正しいのはアとウであり、正解は「アウ」となる。(出典: 令和3年度 司法書士試験 午前の部 第9問)

一問一答

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