問題
BOP(Base of Pyramid あるいは Bottom of Pyramid)と呼ばれる社会の底辺に位置する人々に対するビジネスが注目を浴びている。その中で、バングラデシュのグラミン銀行に代表されるマイクロクレジットという手法は大きな注目を集めた。マイクロクレジットは、通常は銀行からの融資を受けられない人々を対象に、ごく少額の融資を行うものである。融資された人々が事業を行うことが可能になり、収入を得て、貧困から脱することができる。 マイクロクレジットの手法の特徴として、グループに対するごく少額の金額の貸し付け、定期的な返済、返済が滞るとグループ全体が連帯責任を負うことの義務付け、などが挙げられる。これらの特徴をゲームの理論から見た場合、最も適切なものはどれか。
選択肢
- 1逆選択を発生させず、1回のゲームの中で囚人のジレンマを避ける仕組み。
- 2逆選択を発生させず、繰り返しゲームの中で囚人のジレンマを避ける仕組み。
- 3モラルハザードを発生させず、1回のゲームの中で囚人のジレンマを避ける仕組み。
- 4モラルハザードを発生させず、繰り返しゲームの中で囚人のジレンマを避ける仕組み。
正解
4. モラルハザードを発生させず、繰り返しゲームの中で囚人のジレンマを避ける仕組み。
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解説
マイクロクレジットの「グループへの少額融資、定期的な返済、連帯責任」という仕組みは、契約締結後の借り手の行動(事業努力・返済努力)を担保する装置として機能する。融資後の行動に関する情報の非対称性に起因する「モラルハザード」(怠慢・流用など)を、グループ内の相互監視と連帯責任による懲罰によって抑止する点に主眼がある。これは契約成立「前」の質に関する逆選択(adverse selection)対策とは性格が異なる。 また、定期的な返済と継続的な貸付関係は「繰り返しゲーム」の構造を作り出し、目先の裏切り(返済しない・努力しない)が将来の融資打ち切りという損失をもたらすため、フォーク定理的に協調(誠実な返済)が均衡として持続しやすくなる。1回限りのゲームでは囚人のジレンマで全員裏切りが均衡となるが、繰り返しゲームの構造を導入することでこの罠を回避している。 よって「モラルハザードを発生させず、繰り返しゲームの中で囚人のジレンマを避ける仕組み」と説明するエが正解である。 (出典: 一般社団法人 中小企業診断協会 平成22年度 中小企業診断士1次試験 経済学・経済政策 第14問)
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