問題
企業は経済社会の一員として多面的に社会的な責任や期待を負いつつ、経済活動を展開している。そのような社会的存在としての企業の経営行動に関する記述として最も適切なものはどれか。
選択肢
- 1企業価値は株式時価を中心に測定されるが、株価は企業が直接操作できない証券市場で形成されるため、企業価値は具体的な数値目標で表される目的にはなりにくいので、株価にとらわれない自社のビジョンに基づく経営を維持するべく上場を廃止する例が見られるようになった。
- 2企業の利益極大化の追求は、納品業者や販売業者さらには労働者に厳しいコスト削減を強いることになるので、利益計画は公表しないことにしている。
- 3長期の不況の中で賃金コストの抑制が図られ、安価な労働力として非正規雇用が増えたが、企業は雇用不安を抑えるべく、近年ではワークシェアリングを盛んに導入している。
- 4日本では同業者間で同質な技術や商品の開発競争が激化しやすく、その競争を一挙に海外でも展開する傾向があり、集中豪雨的な進出として批判されることがあるばかりか、技術力の低下が起こっている。
正解
1. 企業価値は株式時価を中心に測定されるが、株価は企業が直接操作できない証券市場で形成されるため、企業価値は具体的な数値目標で表される目的にはなりにくいので、株価にとらわれない自社のビジョンに基づく経営を維持するべく上場を廃止する例が見られるようになった。
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解説
近年、株主短期主義(ショートターミズム)に対する反省として、長期視点での経営を維持するために MBO(マネジメント・バイアウト)等によって自主的に上場を廃止する企業が現れている。これは企業価値の測定基準が株価に過度に依存することへの一つの回答であり、社会的存在としての企業が長期的視座から経営を再構築する動きとして適切な記述である。よってアが最も適切。イは利益計画の非公表が「利益極大化追求を緩和する」根拠とはならず、コーポレートガバナンスや投資家への説明責任の観点からも不適切。ウは非正規雇用の増大とワークシェアリングは関連はするが、「企業が雇用不安を抑えるべく盛んに導入している」とまでは言えず、実態とは乖離している。エは集中豪雨的進出という批判は事実だが、それが「技術力の低下」を直接引き起こすという論理は飛躍があり不適切。(出典: 一般社団法人 中小企業診断協会 平成22年度 中小企業診断士1次試験 企業経営理論 第5問)
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