問題
企業は新規参入を阻止して競争激化を抑制しようとするが、他方では業界内部の類似する戦略をとる企業の間で戦略グループが形成され、それが企業の自由な戦略行動を抑制するように作用し始める。前者は参入障壁であり、後者は移動障壁である。これらの障壁と戦略の関係に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
選択肢
- 1ある技術に基づいて生産し販売される製品分野は、ライバル企業の間で製品の類似性が高くなるので、企業は顧客忠誠心やブランド力を高めてライバルとの差別化を図ることが重要になる。
- 2業界特有の販売チャネルや仕入れルートを同業者間で強化することは、他社の参入を防ぐには有効である。
- 3業界内の競争を通じて形成された事業システムやマネジメント方式は、企業に戦略上の癖や慣性を生み出すので、企業が移動障壁に直面する事態にはならない。
- 4垂直統合や共同化は取引先への交渉力の強化や新たな技術の獲得には有効であるが、その縛りが強いと自社の戦略の成否が他社の戦略展開能力に影響されるようになる。
- 5同業者間に共通する戦略課題について協調を維持すると、やがて戦略の類似性が強まり、新規な戦略の展開が困難になる。
正解
3. 業界内の競争を通じて形成された事業システムやマネジメント方式は、企業に戦略上の癖や慣性を生み出すので、企業が移動障壁に直面する事態にはならない。
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解説
移動障壁とは、戦略グループ内に形成された事業システムや経営慣性が、その戦略グループから他の戦略グループへの移動を妨げる障壁を指す。本選択肢ウは「事業システムやマネジメント方式は、企業に戦略上の癖や慣性を生み出す」と前半は正しい認識を示しながら、後半で「企業が移動障壁に直面する事態にはならない」と結論しており、矛盾している。むしろ戦略上の癖や慣性こそが移動障壁の本質であり、企業はそれに直面する。よってウが最も不適切。アは製品類似性の高い分野での差別化(ブランド・顧客忠誠心)の重要性で適切。イはチャネルや仕入れルートの強化が参入障壁として有効という説明で適切。エは垂直統合・共同化のメリットと、相互依存リスクのトレードオフを示しており適切。オは戦略の類似性が高まることで戦略選択が硬直化する移動障壁の現象として適切。(出典: 一般社団法人 中小企業診断協会 平成22年度 中小企業診断士1次試験 企業経営理論 第9問)
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