問題
X社の代表取締役甲の母親乙は、不動産等の資産を有しており、X社が自社工場建設などの事業資金を必要とした10年前に、X社のY銀行からの11億円の借り入れについて、乙所有の不動産に抵当権を設定して、物上保証人兼連帯保証人となった。甲はこの借り入れについて、連帯保証人となっている。X社は10年間は返済を毎月履行してきたが、最近、業績悪化のため返済が滞りがちである。 これらの状況を前提に、以下の選択肢ア〜エのうち最も適切なものはどれか。
選択肢
- 1Y銀行が、月々の返済について11年目になって初めて乙に支払うよう請求してきた場合、乙は自らの保証債務に関する消滅時効を援用して、Y銀行の請求を拒否することができる。
- 2Y銀行から乙が支払わないと乙の不動産の競売をする旨の通知を受けた場合、乙は、X社の有する工場等の資産に対する執行を完了するまで、Y銀行の請求を拒絶することができる。
- 3Y銀行から請求を受けた際には、甲乙間で2分の1ずつ負担をする取り決めが甲と乙の話し合いによりなされている場合、乙はY銀行からの支払いの請求に対して2分の1の部分のみに応ずればよい。
- 4Y銀行に対する支払債務を乙が履行する場合、乙が有する不動産を売却又は競売してその金員をもってY銀行に返済した上で、さらに債務の残額があるときには、この残額も支払う義務がある。
正解
4. Y銀行に対する支払債務を乙が履行する場合、乙が有する不動産を売却又は競売してその金員をもってY銀行に返済した上で、さらに債務の残額があるときには、この残額も支払う義務がある。
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解説
エが適切。乙は物上保証人兼連帯保証人であり、連帯保証人としての責任は人的責任(無限責任)であるため、抵当不動産の競売による配当だけでは債務全額を弁済できない場合、残債務についても乙の他の財産から弁済する義務を負う。アは不適切:主たる債務(X社のY銀行への債務)が10年間毎月返済されているため、毎月の弁済により時効が更新(旧民法では中断)されており、消滅時効は完成していない。よって時効援用はできない。イは不適切:連帯保証人には催告の抗弁権・検索の抗弁権がない(旧民法第454条)。乙は連帯保証人なのでX社の財産への執行を先にせよと主張できない。ウは不適切:連帯保証人間の内部負担割合の取り決めは当事者間の問題であり、債権者Y銀行に対しては全額の支払義務を負う。Y銀行は乙に全額請求できる。(出典: 一般社団法人 中小企業診断協会 平成22年度 中小企業診断士1次試験 経営法務 第16問)
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