問題
会社Xは、宅地建物取引業法(以下「宅建業法」という。)に基づく免許を受けて不動産取引業を営んでいる。ところが、Xの代表取締役であるAが交通事故を起こして、歩行者に重傷を負わせてしまった。その後、自動車運転過失傷害の罪でAは逮捕され、刑事裁判の結果、懲役1年、執行猶予4年の刑を受けて、判決は確定した。宅建業法の定めによれば、法人の役員が「禁錮以上の刑」に処せられた場合、その法人の免許は取り消されるものとされていることから、知事YはXの免許を取り消した(以下「本件処分」という。)。この事例への行政手続法の適用に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
選択肢
- 1本件処分は、許認可等の効力を失わせる処分であるが、当該許認可等の基礎となった事実が消滅した旨の届出に対する応答としてなされるものであるから、行政手続法のいう「不利益処分」には当たらない。
- 2本件処分は、刑事事件に関する法令に基づいて検察官、検察事務官または司法警察職員がする処分を契機とするものであるので、行政手続法の規定は適用されない。
- 3本件処分は、その根拠となる規定が法律に置かれているが、地方公共団体の機関がする処分であることから、行政手続法の規定は適用されない。
- 4本件処分は、申請に対する処分を取り消すものであるので、本件処分をするに際して、行政庁は許認可等の性質に照らしてできる限り具体的な審査基準を定めなければならない。
- 5本件処分は、法令上必要とされる資格が失われるに至ったことが判明した場合に必ずすることとされている処分であり、その喪失の事実が客観的な資料により直接証明されるものであるので、行政庁は聴聞の手続をとる必要はない。(参考条文)宅地建物取引業法(免許の基準)第5条①国土交通大臣又は都道府県知事は、第3条第1項の免許を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当する場合又は免許申請書若しくはその添付書類中に重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けている場合においては、免許をしてはならない。一〜四略五禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者六以下略②以下略(免許の取消し)第66条①国土交通大臣又は都道府県知事は、その免許を受けた宅地建物取引業者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該免許を取り消さなければならない。一第5条第1項第1号、第5号から第7号まで、第10号又は第14号のいずれかに該当するに至ったとき。二略三法人である場合において、その役員又は政令で定める使用人のうちに第5条第1項第1号から第7号まで又は第10号のいずれかに該当する者があるに至ったとき。四以下略②以下略
正解
5. 本件処分は、法令上必要とされる資格が失われるに至ったことが判明した場合に必ずすることとされている処分であり、その喪失の事実が客観的な資料により直接証明されるものであるので、行政庁は聴聞の手続をとる必要はない。(参考条文)宅地建物取引業法(免許の基準)第5条①国土交通大臣又は都道府県知事は、第3条第1項の免許を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当する場合又は免許申請書若しくはその添付書類中に重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けている場合においては、免許をしてはならない。一〜四略五禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者六以下略②以下略(免許の取消し)第66条①国土交通大臣又は都道府県知事は、その免許を受けた宅地建物取引業者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該免許を取り消さなければならない。一第5条第1項第1号、第5号から第7号まで、第10号又は第14号のいずれかに該当するに至ったとき。二略三法人である場合において、その役員又は政令で定める使用人のうちに第5条第1項第1号から第7号まで又は第10号のいずれかに該当する者があるに至ったとき。四以下略②以下略
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解説
正解は5(妥当なもの)。役員が禁錮以上の刑に処せられたことによる免許取消し(宅建業法66条1項3号・5条1項5号)は、法令上必要とされる資格が失われた事実が客観的資料により直接証明される場合に当たり、行手法13条2項2号により聴聞・弁明の機会付与は不要とされる。よって5が妥当。1は許認可の効力を失わせる不利益処分に当たるため誤り。2の適用除外(行手法3条1項各号)には該当せず誤り。3は地方公共団体の機関の処分でも根拠が法律にあるものは行手法が適用されるため誤り(適用除外は根拠が条例・規則の場合)。4は本件は不利益処分であり、審査基準ではなく処分基準の問題であって「申請に対する処分の審査基準」とする点が誤り。(出典: 令和6年度 行政書士試験 問題11)
一問一答
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