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民法難易度: 2021年度

司法書士 過去問民法 第344問

問題

土地の所有権又は賃借権に基づく請求権に関する次のアからオまでの記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは,後記 1 から 5 までのうち,どれか。 ア Aの所有する甲土地の上にAに無断で乙建物を築造したBが,乙建物につきB名義で所有権の保存の登記をした後に,乙建物をCに売却したが,その旨の登記をしていないときは,Aは,Bに対し,甲土地の所有権に基づき,乙建物を収去して甲土地を明け渡すことを求めることができない。 イ Aの所有する甲土地をBが賃借して賃借権の設定の登記をした場合において,Cが自己の所有する乙動産をA及びBに無断で甲土地に置いているときは,Bは,Cに対し,甲土地の賃借権に基づき,乙動産の撤去を請求することができない。 ウ Aの所有する甲土地を賃借しているBが,Cの所有する乙動産を賃借して甲土地に置いている場合において,その後,AB間の賃貸借契約が終了したが,Bが乙動産を甲土地に放置しているときは,Aは,Cに対し,甲土地の所有権に基づき,乙動産の撤去を請求することができる。 エ Aがその所有する甲土地をBに賃貸して引き渡し,その後,AB間の賃貸借契約が終了したが,Bがその所有する乙動産を甲土地に放置している場合において,AがBに対し賃貸借契約の終了に基づき乙動産の撤去を請求することができるときは,Aは,Bに対し,甲土地の所有権に基づき,乙動産の撤去を請求することができない。 オ Aの所有する甲土地にBがCから購入した乙自動車がAに無断で放置されている場合において,BC間の売買契約上,Bの代金残債務の担保として乙自動車の所有権はCに留保される旨及びBが期限の利益を喪失して残債務の弁済期が経過したときはCはBから乙自動車の引渡しを受け,これを売却してその代金を残債務の弁済に充てることができる旨の合意がされており,Bが期限の利益を喪失してその残債務の弁済期が経過したときは,Aは,Cに対し,甲土地の所有権に基づき,乙自動車の撤去を請求することができる。

選択肢

  1. 1アイ
  2. 2アオ
  3. 3イエ
  4. 4ウエ
  5. 5ウオ

正解

5. ウオ

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解説

正解は「ウオ」(正しいものの組合せ)。 ア=誤り。他人の土地上の建物の所有権を取得した者が自らの意思に基づいて所有権取得の登記を経由した場合には、その後に建物を譲渡したとしても、引き続き登記名義を保有する限り、土地所有者に対して建物収去土地明渡しの義務を免れない(最判平成6年2月8日)。したがってAはBに対し建物収去土地明渡しを求めることができる。根拠:民法206条、177条 イ=誤り。不動産の賃借人は、対抗要件を備えた場合において、その不動産の占有を第三者が妨害しているときは、その第三者に対して妨害の停止を請求することができる(民法605条の4第1号)。Bは賃借権の設定の登記を備えているから、Cに対し乙動産の撤去を請求することができる。根拠:民法605条の4、605条 ウ=正しい。甲土地上に放置されている乙動産の所有者はCであるから、土地所有者Aは、所有権に基づく妨害排除請求として、動産の所有者であるCに対しその撤去を請求することができる。賃貸借契約の当事者でないことは妨げにならない。根拠:民法206条 エ=誤り。賃貸借契約の終了に基づく目的物返還請求権と所有権に基づく妨害排除請求権とは、要件も効果も異なる別個の請求権であり、いずれを行使するかは権利者の選択に委ねられる(請求権競合)。契約上の請求ができることは所有権に基づく請求を妨げない。根拠:民法206条、601条 オ=正しい。動産の購入者に対して売主が売買代金債権を担保するため所有権を留保している場合において、残債務の弁済期が経過した後は、留保所有権者は、当該動産が第三者の土地上に放置されていることによって第三者の土地所有権を侵害しているものとして、撤去義務を負い、不法行為責任を免れない(最判平成21年3月10日)。したがってAはCに対し乙自動車の撤去を請求することができる。根拠:民法206条、709条 以上より、正しいのはウとオであり、正解は「ウオ」となる。(出典: 令和3年度 司法書士試験 午前の部 第7問)

一問一答

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