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民法難易度: 2024年度

司法書士 過去問民法 第284問

問題

次の対話は、占有に関する教授と学生との対話である。教授の質問に対する次のアからオまでの学生の解答のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記 1 から5 までのうち、どれか。 教授: 今日は、占有者の善意・悪意について考えてみましょう。占有者については、占有の態様等に関して、どのような推定がされますか。 ア 占有者は、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定されますが、占有者が善意であることは推定されません。 教授: 占有物から生ずる果実の収取について考えてみましょう。悪意の占有者は、果実の収取を怠った場合には、その果実の代価を償還する義務を負いますか。 イ 収取を怠った果実の代価を償還する義務を負いません。 教授: 占有物が占有者の責めに帰すべき事由によって滅失し、又は損傷したときにおける占有者の損害賠償の範囲について考えてみましょう。所有の意思のない善意の占有者は、どの範囲で賠償する義務を負いますか。 ウ 損害の全部の賠償をする義務を負います。 教授: 善意の占有者が本権の訴えにおいて敗訴したときは、いつから悪意の占有者とみなされますか。 エ 占有を始めた時にさかのぼって悪意の占有者とみなされます。 教授: 相続が発生した場合の取得時効についても考えてみましょう。相続人である占有者は、その選択に従い、被相続人の占有に自己の占有を併せて主張することもできます。では、占有を始めた時に悪意であった相続人が占有を始めた時に善意であった被相続人を相続した場合において、その相続人が被相続人の占有を併せて主張するときは、取得時効の要件としての占有者の善意・悪意は、どのように判定されますか。 オ 被相続人の占有を併せて主張する場合には、相続人が占有を始めた時に悪意であっても、善意と判定されます。

選択肢

  1. 1アイ
  2. 2アエ
  3. 3イウ
  4. 4ウオ
  5. 5エオ

正解

4. ウオ

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解説

正解は「ウオ」。ア=誤り。民法186条1項は、占有者は、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定すると定める。善意も推定の対象に含まれる。もっとも無過失は推定されないから、即時取得や短期取得時効を主張する者は無過失を立証しなければならない。イ=誤り。民法190条1項は、悪意の占有者は、果実を返還し、かつ、既に消費し、過失によって損傷し、または収取を怠った果実の代価を償還する義務を負うと定める。収取を怠った果実についても代価の償還義務がある。ウ=正しい。民法191条は、占有物が占有者の責めに帰すべき事由によって滅失または損傷したときは、悪意の占有者は損害の全部を、善意の占有者は現に利益を受けている限度において賠償する義務を負うとしつつ、ただし書で、所有の意思のない占有者は善意であるときであっても損害の全部の賠償をしなければならないと定める。他人の物であることを前提に占有している以上、保護に値しないからである。エ=誤り。民法189条2項は、善意の占有者が本権の訴えにおいて敗訴したときは、その訴えの提起の時から悪意の占有者とみなすと定める。占有を始めた時にさかのぼるのではない。オ=正しい。占有の承継人が前の占有者の占有を併せて主張する場合、善意・悪意等の要件は最初の占有者の占有開始時を基準として判断される(最判昭53・3・6)。したがって被相続人の占有を併せて主張するときは、相続人自身が占有開始時に悪意であっても、被相続人について善意であれば善意の占有として扱われる。したがって正しいのはウとオである。(出典: 令和6年度 司法書士試験 午前の部 第7問)

一問一答

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