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民法難易度: 2021年度

司法書士 過去問民法 第354問

問題

相殺に関する次のアからオまでの記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは,後記 1 から 5 までのうち,どれか。 ア 時効によって債権が消滅した場合において,その消滅時効期間が経過する以前にその債権の債務者が債権者に対する反対債権を有していたときは,その消滅時効期間が経過する以前に反対債権の弁済期が現実に到来していたかどうかにかかわらず,時効によって消滅した債権の債権者は,その債権を自働債権とし,その反対債権を受働債権として,相殺をすることができる。 イ 債務不履行に基づく損害賠償請求権を受働債権とする相殺は,その損害賠償請求権が人の生命又は身体の侵害によるものであっても,することができる。 ウ 債権が第三者に差し押さえられた場合において,被差押債権の債務者がその差押え前に被差押債権の債権者に対する反対債権を取得しており,その差押え後にその反対債権と被差押債権が相殺に適するようになったときは,その反対債権と被差押債権の弁済期の先後にかかわらず,被差押債権の債務者は,その反対債権による相殺をもって差押債権者に対抗することができる。 エ 相殺は,双方の債務の履行地が異なるときであっても,することができる。 オ 債権につき,弁済期が到来していれば,その債権の債務者が同時履行の抗弁権を有していても,その債権の債権者は,その債権を自働債権として,相殺をすることができる。

選択肢

  1. 1アイ
  2. 2アエ
  3. 3イオ
  4. 4ウエ
  5. 5ウオ

正解

4. ウエ

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解説

正解は「ウエ」(正しいものの組合せ)。 ア=誤り。時効によって消滅した債権がその消滅以前に相殺に適するようになっていた場合には、その債権者は相殺をすることができる(民法508条)。ここでいう相殺に適するようになっていたとは、自働債権の消滅時効期間が経過する以前に受働債権の弁済期が現実に到来していたことをいうのであって、これがなければ同条は適用されない(最判平成25年2月28日参照)。弁済期の到来の有無を問わないとする点が誤りである。根拠:民法508条、505条1項 イ=誤り。人の生命又は身体の侵害による損害賠償の債務の債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができない(民法509条2号)。この規定は債務不履行に基づく損害賠償請求権にも及ぶから、これを受働債権とする相殺をすることはできない。現実の給付を受けさせて被害者を保護する趣旨である。根拠:民法509条2号 ウ=正しい。差押えを受けた債権の第三債務者は、差押え後に取得した債権による相殺をもって差押債権者に対抗することはできないが、差押え前に取得した債権による相殺をもって対抗することができる(民法511条1項)。自働債権と受働債権の弁済期の先後を問わないという無制限説が明文化されている。根拠:民法511条1項 エ=正しい。相殺は、双方の債務の履行地が異なるときであっても、することができる。この場合において、相殺をする当事者は、相手方に対し、これによって生じた損害を賠償しなければならない(民法507条)。根拠:民法507条 オ=誤り。自働債権に同時履行の抗弁権が付着している場合には、相殺をすることができない。相殺を認めると、相手方が有する抗弁権を一方的に奪う結果になるからである。根拠:民法505条1項、533条 以上より、正しいのはウとエであり、正解は「ウエ」となる。(出典: 令和3年度 司法書士試験 午前の部 第17問)

一問一答

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