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民法難易度: 2023年度

司法書士 過去問民法 第302問

問題

AがBに対して甲土地を売却してその旨の所有権の移転の登記がされ、その後、BがCに対して甲土地を転売した。この事例に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記 1 から 5 までのうち、どれか。 ア BがAに対して虚偽の事実を告げてAB間の売買契約が締結された場合には、Aが当該事実を告げられたことによって錯誤に陥っていなくても、Aは、Bの詐欺を理由としてAB間の売買契約を取り消すことができる。 イ Aが第三者による強迫によってAB間の売買契約を締結した場合には、Bが当該強迫の事実を知り、又は知ることができたときに限り、Aは、AB間の売買契約を取り消すことができる。 ウ BがCの詐欺を理由としてBC間の売買契約を取り消すことができることを知った後、異議をとどめることなくCから売買代金を受領した場合には、Bは、自らの債務を履行する前であっても、Cの詐欺を理由としてBC間の売買契約を取り消すことができない。 エ AがBC間の売買契約の締結後に、Bの詐欺を理由としてAB間の売買契約を取り消した場合において、当該詐欺の事実を知らなかったことについてCに過失があるときは、Aは、Cに対し、甲土地の所有権を主張することができる。 オ AB間の売買契約がAとBの通謀により仮装されたものであり、その後、BがCに対して甲土地を売却し、更にCがDに対して甲土地を売却した場合において、CがAB間の売買契約が仮装されたものであることを知っていたときは、Dがこれを知らなかったとしても、Dは、Aに対し、甲土地の所有権を主張することはできない。

選択肢

  1. 1アイ
  2. 2アオ
  3. 3イウ
  4. 4ウエ
  5. 5エオ

正解

4. ウエ

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解説

正解は「ウエ」(正しいものの組合せ)。 ア=誤り。詐欺による取消しが認められるには、欺罔行為によって表意者が錯誤に陥り、その錯誤に基づいて意思表示をしたという因果関係が必要である。Aが虚偽の事実を告げられても錯誤に陥っていないのであれば、詐欺による意思表示があったとはいえず、取り消すことはできない。根拠:民法96条1項 イ=誤り。相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合に、相手方の悪意・有過失を要件とするのは詐欺についての規律である(民法96条2項)。強迫については、表意者の保護をより厚くする趣旨からこのような制限がなく、第三者による強迫の場合も相手方の善意・悪意を問わず取り消すことができる。根拠:民法96条1項・2項 ウ=正しい。取消権者が、取消しの原因となっていた状況が消滅し、かつ取消権を有することを知った後に、異議をとどめることなく債務の履行を受領したときは、追認をしたものとみなされる(法定追認)。ここでの「履行」には自己の債務の履行のみならず相手方の履行の受領も含まれるから、Bが自らの債務を履行する前であっても、売買代金を異議なく受領した以上、もはやCの詐欺を理由に取り消すことはできない。根拠:民法125条1号、124条 エ=正しい。詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない(民法96条3項)。Cは取消前に登場した第三者であるが、詐欺の事実を知らなかったことについて過失があるのだから同項による保護を受けられず、AはCに対して甲土地の所有権を主張することができる。平成29年改正により第三者に無過失が要求された点が本肢の要である。根拠:民法96条3項 オ=誤り。虚偽表示の無効は善意の第三者に対抗することができない(民法94条2項)。転得者Dは自ら善意である以上、同項の「第三者」として保護され、Aに対して甲土地の所有権を主張することができる。中間者Cが悪意であったことは、善意のDの保護を妨げない。根拠:民法94条2項 以上より、正しいのはウとエであり、正解は「ウエ」となる。(出典: 令和5年度 司法書士試験 午前の部 第5問)

一問一答

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