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民法難易度: 2023年度

司法書士 過去問民法 第311問

問題

動産質に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記 1 から 5 までのうち、どれか。 ア 質権者は、質物から生ずる果実を収取し、他の債権者に先立って、被担保債権の弁済に充当することができる。 イ 質権の設定は、債権者にその目的物を現実に引き渡さなければ、その効力を生じない。 ウ 質権者は、その権利の存続期間内において、質権設定者の承諾がなくとも、質物を第三者に引き渡して、当該第三者のために転質権を設定することができる。 エ 質権者は、質権者による質物の使用について質権設定者の承諾がなく、かつ、目的物の保存のために質物の使用の必要がない場合であっても、質物の使用をすることができる。 オ 質権設定者が被担保債権の弁済前に質権者に対して訴訟を提起して目的物の返還を請求し、質権者が質権の抗弁を主張した場合には、裁判所は、当該請求を棄却するとの判決をするのではなく、被担保債権の弁済と引換えに目的物を引き渡せとの引換給付判決をしなければならない。

選択肢

  1. 1アイ
  2. 2アウ
  3. 3イオ
  4. 4ウエ
  5. 5エオ

正解

2. アウ

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解説

正解は「アウ」(正しいものの組合せ)。 ア=正しい。質権には留置権の規定が準用され(民法350条)、質権者は質物から生ずる果実を収取し、他の債権者に先立って被担保債権の弁済に充当することができる(民法297条の準用)。根拠:民法350条、297条 イ=誤り。質権の設定は、債権者にその目的物を引き渡すことによって、その効力を生ずる(民法344条)。ここでの引渡しは現実の引渡しに限られず、簡易の引渡しや指図による占有移転でもよい。ただし、質権者は質権設定者に自己に代わって質物の占有をさせることができないため(民法345条)、占有改定による引渡しは認められない。現実の引渡しを要するとする点が誤りである。根拠:民法344条・345条 ウ=正しい。質権者は、その権利の存続期間内において、自己の責任で、質物について転質をすることができる(民法348条前段。責任転質)。この場合、質権設定者の承諾を要しない。もっとも、転質をしたことにより不可抗力による損失が生じても、質権者はその責任を負う(同条後段)。根拠:民法348条 エ=誤り。質権には留置権の規定が準用され、質権者は、債務者の承諾を得なければ、質物を使用し、賃貸し、又は担保に供することができない(民法350条、298条2項本文)。例外は保存に必要な使用に限られる(同項ただし書)。承諾も保存の必要もない場合に使用できるとする点が誤りである。根拠:民法350条、298条2項 オ=誤り。質権設定者が被担保債権の弁済前に質権者に対して目的物の返還を請求し、質権者が質権の抗弁を主張した場合には、裁判所は請求を棄却する判決をする。質権は目的物の占有を本体的な内容とする権利であり、弁済期の到来前は設定者に返還を求める権利がそもそもないからである。留置権が主張された場合に引換給付判決がされるのとは扱いが異なる。根拠:民法342条・347条 以上より、正しいのはアとウであり、正解は「アウ」となる。(出典: 令和5年度 司法書士試験 午前の部 第14問)

一問一答

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