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民法難易度: 2024年度

司法書士 過去問民法 第288問

問題

民法上の留置権に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものの組合せは、後記 1 から 5 までのうち、どれか。 ア AがBに対して甲建物を売却した後、Aが甲建物を引き続き占有していたが、Bがその代金全額を支払う前に甲建物をCに対して売却した場合において、CがAに対して甲建物の明渡しを請求したときは、Aは、Bに対する売買代金債権を被担保債権として留置権を主張することができる。 イ AがBに対して甲建物を売却して引き渡した後、AがCに対して甲建物を売却し、その旨の登記がされた場合において、CがBに対し甲建物の明渡しを請求したときは、Bは、Aに対する債務不履行に基づく損害賠償請求権を被担保債権として留置権を主張することができる。 ウ A所有の甲土地を賃借したBが、甲土地上に乙建物を建築し、Cに乙建物を賃貸した場合において、Cが乙建物について必要費を支出した後、Bの賃料不払を理由にAB間の賃貸借契約が解除され、AがCに対して乙建物からの退去及び甲土地の明渡しを請求したときは、Cは、B に対する必要費償還請求権を被担保債権とする留置権を主張して、甲土地の明渡しを拒むことができる。 エ A所有の甲建物について譲渡担保権の設定を受けたBが、当該譲渡担保権の実行として甲建物をCに売却した場合において、CがAに対して甲建物の明渡しを請求したときは、Aは、Bに対する清算金支払請求権を被担保債権として留置権を主張することができる。 オ Aを賃借人とし、Bを賃貸人とする甲建物の賃貸借契約がAの賃料不払を理由に解除された後、Aが自らに占有権原のないことを知りながら甲建物をなお占有している間に甲建物について有益費を支出した場合において、BがAに対して甲建物の明渡しを請求したときは、Aは、B に対する有益費償還請求権を被担保債権として留置権を主張することができない。

選択肢

  1. 1アウ
  2. 2アエ
  3. 3イウ
  4. 4イオ
  5. 5エオ

正解

3. イウ

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解説

正解は「イウ」。留置権の被担保債権は「その物に関して生じた債権」でなければならない(民法295条1項)。ア=正しい。売主が代金の支払を受けないまま目的物を占有している場合、売買代金債権はその物に関して生じた債権であるから、売主は目的物の買主から更に譲り受けた第三者に対しても留置権を主張することができる(最判昭47・11・16)。イ=誤り。不動産の二重譲渡において、対抗要件を備えた第二譲受人からの明渡請求に対し、第一譲受人が売主に対して有する履行不能による損害賠償請求権は、目的物の返還義務と対価的関係に立つものではなく、その物自体に関して生じた債権とはいえない。したがって留置権を主張することはできない(最判昭43・11・21)。ウ=誤り。建物賃借人が建物について支出した必要費の償還請求権は建物に関して生じた債権であって、土地に関して生じた債権ではない。したがって土地所有者からの土地明渡請求に対し、これを被担保債権として留置権を主張し土地の明渡しを拒むことはできない(最判昭44・11・6)。エ=正しい。譲渡担保権者が目的物を第三者に処分した場合、設定者は譲渡担保権者に対する清算金支払請求権を被担保債権として、第三者からの明渡請求に対し留置権を主張することができる(最判平9・4・11)。オ=正しい。民法295条2項は、占有が不法行為によって始まった場合には留置権は成立しないと定める。判例は、占有開始後に占有権原がないことを知りながら占有を継続した場合にも同項を類推適用し、その間に支出した費用の償還請求権による留置権の成立を否定する(最判昭46・7・16)。したがって誤っているのはイとウである。(出典: 令和6年度 司法書士試験 午前の部 第11問)

一問一答

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