司法書士に戻る
民法難易度: 2024年度

司法書士 過去問民法 第290問

問題

抵当権の効力に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記 1 から 5 までのうち、どれか。 ア 抵当権が設定されている甲建物と抵当権が設定されていない乙建物がその間の隔壁を除去する工事により一棟の建物となった場合において、甲建物と乙建物が互いに主従の関係になかったときは、甲建物に設定されていた抵当権は消滅する。 イ 土地の賃借人が当該土地上に所有する建物について抵当権を設定した場合には、その抵当権の効力は、当該土地の賃貸人の承諾がない限り、当該土地の賃借権に及ばない。 ウ 抵当権が設定されている建物について賃貸借契約が締結され、敷金が授受された場合において、当該賃貸借契約に係る賃料債権につき抵当権者が物上代位権を行使してこれを差し押さえた後に、当該賃貸借契約が終了し、当該建物が明け渡されたときは、賃料債権は、敷金の充当によりその限度で消滅する。 エ 抵当権に基づき物上代位権を行使する債権者は、他の債権者による債権差押事件に配当要求をすることによっても、優先弁済を受けることができる。 オ 第三者が抵当不動産を損傷しようとしているときは、抵当権者は、当該第三者に対し、その行為の差止めを求めることができる。

選択肢

  1. 1アイ
  2. 2アウ
  3. 3イエ
  4. 4ウオ
  5. 5エオ

正解

4. ウオ

詳しい解説を見る

解説

正解は「ウオ」。ア=誤り。最高裁は、抵当権が設定された建物が他の建物と合体して一棟の建物となった場合について、抵当権は消滅せず、合体後の建物のうち従前の建物の価格の割合に応じた持分の上に存続するとした(最判平6・1・25)。抵当権者の把握した交換価値を失わせない趣旨である。イ=誤り。最高裁は、借地上の建物に設定された抵当権の効力は、従たる権利である敷地の賃借権にも及ぶとした(最判昭40・5・4)。賃貸人の承諾は、競売により建物を取得した者が賃借権の移転を賃貸人に対抗するために必要となるにとどまり(民法612条、借地借家法20条の代諾許可)、抵当権の効力が及ぶこと自体の要件ではない。ウ=正しい。最高裁は、抵当権者が物上代位により賃料債権を差し押さえた後に賃貸借契約が終了し目的物が明け渡された場合には、賃料債権は敷金の充当により当然にその限度で消滅するとした(最判平14・3・28)。敷金は賃貸借終了時に当然充当されるという敷金の性質を優先させたものである。エ=誤り。最高裁は、物上代位権を行使する債権者は自ら目的債権を差し押さえることを要し、他の債権者による差押事件に配当要求をすることによって優先弁済を受けることはできないとした(最判平13・10・25)。オ=正しい。抵当権は目的物の交換価値を把握する権利であるから、第三者が抵当不動産を損傷し交換価値を減少させようとしているときは、抵当権者は抵当権に基づく妨害排除請求としてその行為の差止めを求めることができる(最大判平11・11・24参照)。したがって正しいのはウとオである。(出典: 令和6年度 司法書士試験 午前の部 第13問)

一問一答

全11科目1,000問を科目別に学習

民法の関連問題

この調子で演習を続けよう

スキマ資格では司書の全1350問を分野別・難易度別に体系的に学習できます。司法書士試験は午前の部(憲法・民法・刑法・会社法商法)と午後の部(民事訴訟法等・供託法・司法書士法・不動産登記法・商業登記法)の択一式に、不動産登記と商業登記の記述式を加えた構成です。受験資格は不要で、行政書士や宅建からのステップアップにも向いています。