問題
次の自由貿易地域に関する文章を読んで、自由貿易地域が形成された場合の経済効果の説明として最も適切なものを下記の解答群から選べ。 下図は、自国と2つの外国(X 国と Y 国)間の貿易取引を表し、自国の輸入競争財市場(たとえば農産物)を対象としている。農産物の国内需要曲線が DD、国内供給曲線が SS で描かれている。 いま、X 国からの農産物の輸入価格が P₀、Y 国からの農産物の輸入価格が P₁ であるとする。このとき、自由貿易を想定すれば、農産物はより安価な X 国から輸入され、Y 国から輸入されることはない。また、両国からの輸入に関税(T 円)を同じだけ賦課したとしても、(P₁+T)が(P₀+T)よりも大きいため、農産物は依然として X 国から輸入され続ける。ここで、(P₀+T)を P₂ で示し、(P₁+T)線は図示していない。 ところが、X 国からの輸入には関税を賦課したままで自国と Y 国が自由貿易地域を形成した場合、Y 国に対する輸入関税は撤廃され、両国からの輸入価格は P₂>P₁ になるから、農産物の輸入先は X 国から Y 国に切り替わる。

選択肢
- 1△EIJ と△HKL の和が□FGLI より大きければ、自由貿易地域を形成することによって自国の総余剰が増加する。
- 2自由貿易地域が形成されると、△BEF と△CGH の余剰が回復する。
- 3自由貿易地域形成下の貿易利益は、自由貿易下の利益△ABC より大きい。
- 4貿易創造効果は□EFGH に等しい。
- 5貿易転換効果は△EIJ と△HKL の和に等しい。
正解
1. △EIJ と△HKL の和が□FGLI より大きければ、自由貿易地域を形成することによって自国の総余剰が増加する。
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解説
自由貿易地域(FTA)の形成には、関税撤廃で安価な輸入が増え消費・生産がより効率化する「貿易創造効果(プラス)」と、域外のより安価な供給国(X 国)から域内のやや割高な国(Y 国)へ輸入先が切り替わることで関税収入が失われる「貿易転換効果(マイナス)」の両面がある。 本図では、輸入価格が P₂ から P₁ へ下がることで生じる消費・生産両面の余剰増加(貿易創造効果に対応する三角形△EIJ と△HKL の和)が、輸入先転換によって失われる関税収入相当分(□FGLI)を上回れば、ネットで自国の総余剰は増加する。この大小関係を述べたアが正しい。 貿易創造効果が三角形(△EIJ・△HKL)に、失われる関税収入が四角形(□FGLI)に対応するため、効果の対応関係を取り違えているエ・オや、余剰回復の記述イ、自由貿易そのものとの比較を述べるウはいずれも適切でない。したがって正解はアである。 (出典: 一般社団法人 中小企業診断協会 平成20年度 中小企業診断士1次試験 経済学・経済政策 第8問)
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