問題
X株式会社(取締役会・監査役設置会社)では、代表取締役Aが取締役会の承認を得ずに自己の所有する不動産を会社に時価で売却し、その後、別の取締役Bが会社の事業と競合する取引を承認なく行った。これらの事案の評価として、最も適切なものはどれか。
選択肢
- 1Aの不動産売却は利益相反取引(直接取引)に当たり取締役会の承認を要し、Bの取引は競業取引に当たり取締役会の承認を要する。いずれも承認を欠いており、会社に損害が生じれば各取締役は任務懈怠責任を負いうる。
- 2Aの取引は時価による売買であるため利益相反取引には当たらず、承認は不要である。
- 3Bの競業取引は、会社に現実の損害が生じない限り、承認を得る必要はない。
- 4AおよびBの行為は、いずれも代表取締役・取締役の権限の範囲内であり、取締役会の承認を要する場面ではない。
正解
1. Aの不動産売却は利益相反取引(直接取引)に当たり取締役会の承認を要し、Bの取引は競業取引に当たり取締役会の承認を要する。いずれも承認を欠いており、会社に損害が生じれば各取締役は任務懈怠責任を負いうる。
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解説
Aが自己所有不動産を会社に売却する行為は、取締役と会社との間の直接取引であり、価格が時価であるか否かにかかわらず利益相反取引として取締役会(取締役会設置会社の場合)の承認を要する(会社法356条1項2号・365条)。Bが会社の事業の部類に属する取引を行う行為は競業取引に当たり、損害発生の有無にかかわらず事前に重要事実を開示して取締役会の承認を得る必要がある(同1号)。いずれも承認を欠いた点で手続違反があり、会社に損害が生じれば任務懈怠責任(会社法423条)を負いうる(競業取引では取締役等が得た利益額が損害と推定される)。したがって、時価だから承認不要、損害がなければ承認不要、権限内で承認不要とする他の選択肢はいずれも誤りである。
一問一答
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