問題
A株式会社は事業再編の一環として、同業のB株式会社を吸収合併することを検討している。合併契約では、Aを存続会社、Bを消滅会社とし、効力発生日を定めたうえで、Bの株主に対して合併対価を交付する予定である。この吸収合併に関する次の記述のうち、最も適切なものを①〜⑤の中から1つ選びなさい。
選択肢
- 1吸収合併の効力は、存続会社であるAが変更登記をした時に当然に発生し、合併契約で定めた効力発生日は法律上の意味を持たない。
- 2合併に反対するBの株主は、会社に対して自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することはできず、合併の効力に従う以外の方法はない。
- 3吸収合併では、消滅会社であるBの権利義務は、個々の財産・債務について個別の移転手続を経ることなく、合併の効力発生日に存続会社であるAへ包括的に承継される。
- 4吸収合併においては、存続会社・消滅会社のいずれにおいても債権者保護手続は不要であり、債権者は合併について異議を述べることができない。
- 5吸収合併では、消滅会社であるBの株主に対し、合併対価として存続会社であるAの株式を交付しなければならず、金銭その他の財産を対価とすることはできない。
正解
3. 吸収合併では、消滅会社であるBの権利義務は、個々の財産・債務について個別の移転手続を経ることなく、合併の効力発生日に存続会社であるAへ包括的に承継される。
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解説
消滅会社の権利義務が個別の移転手続なしに存続会社へ包括的に承継されるとする記述が最も適切である。吸収合併では、消滅会社の権利義務は合併の効力発生日に存続会社へ包括的に承継され、個々の財産につき登記・登録・債権譲渡の通知等の個別の移転手続を要しない点が事業譲渡との大きな違いである(会社法750条1項)。合併の効力が変更登記の時に当然に発生し効力発生日は法律上の意味を持たないとする記述は誤りで、吸収合併の効力は合併契約で定めた効力発生日に生じ(750条1項)、変更登記は対抗・公示のためのものである。反対株主は株式の買取りを請求できないとする記述も誤りで、合併に反対する株主には自己の株式を公正な価格で買い取ることを請求する株式買取請求権が認められる(785条1項・797条1項)。債権者保護手続は不要とする記述も誤りで、吸収合併では存続会社・消滅会社のいずれにおいても債権者保護手続(官報による公告および知れている債権者への各別の催告、異議申述の機会の付与)が必要である(789条・799条)。合併対価は存続会社の株式に限られるとする記述も誤りで、合併対価は柔軟化されており、存続会社の株式に限らず金銭その他の財産を対価とすることもできる(749条1項2号)。包括承継・効力発生時・反対株主と債権者の保護・合併対価の柔軟化が要点である。
一問一答
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