問題
A社はソフトウェア開発業者であるB社に対し、自社の業務システムの開発を委託し、契約書には「本契約は成果物(本システム)の完成を目的とする」旨が明記されていた。開発の途中で、B社の責めに帰することができない事由により、契約で定めた仕様の一部の実現が不能となり、システムを完成させることができなくなった。請負と委任の区別および仕事の完成が不能となった場合等の報酬に関する次の①〜⑤の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
選択肢
- 1請負契約においては仕事が完成しなければおよそ報酬は発生しないため、既に施工した部分から可分な利益が注文者A社に生じている場合であっても、B社は報酬を一切請求することができない。
- 2システム開発の委託は契約の文言にかかわらず常に準委任契約と解されるため、B社には仕事を完成させる義務はなく、B社は履行の割合に応じて当然に報酬の全額を請求することができる。
- 3本契約は成果物の完成を目的とする以上、原則として請負契約と解され、注文者の責めに帰することができない事由により仕事の完成が不能となった場合でも、既にした仕事の結果のうち可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは、その割合に応じてB社は報酬を請求することができる場合がある。
- 4注文者A社の責めに帰すべき事由がないにもかかわらず仕事が完成不能となった場合、B社は危険負担における債権者主義により、当然に報酬の全額を請求することができる。
- 5請負契約が仕事の完成前に注文者A社の任意の意思により解除された場合であっても、A社は既施工部分の有無にかかわらず一切報酬を支払う必要はなく、B社に生じた損害を賠償すれば足りる。
正解
3. 本契約は成果物の完成を目的とする以上、原則として請負契約と解され、注文者の責めに帰することができない事由により仕事の完成が不能となった場合でも、既にした仕事の結果のうち可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは、その割合に応じてB社は報酬を請求することができる場合がある。
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解説
成果物の完成を目的とする以上この契約は請負と解され、既施工部分が可分で注文者が利益を受けるときは割合的報酬を請求できる場合があるとする③が適切。改正民法634条は、注文者の責めに帰せない事由で完成不能となった場合や請負人が仕事を完成しない間に契約が解除された場合でも、既にした仕事の結果が可分で注文者が利益を受けるときはその割合に応じた報酬請求を認める。①は誤りで、可分な利益があれば割合的報酬が認められうる。②も誤りで、契約の目的が完成にあれば請負と評価され、システム開発も一律準委任ではない。④も誤りで、注文者に帰責性のない完成不能は危険負担の問題であり報酬全額請求が当然に認められるわけではない(536条1項により反対給付の履行を拒める)。⑤も誤りで、注文者は仕事完成前はいつでも損害を賠償して解除できる(641条)が、その場合でも634条により可分な利益に応じた報酬が発生しうるから「一切報酬を支払う必要はない」は誤り。
一問一答
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