問題
選択肢
- 1代表取締役の対外的な行為は、会社の内部的な意思決定手続の有無にかかわらず常に有効であり、A社が取締役会決議を欠くことを理由としてCに対し売買契約の無効を主張する余地は一切ない。
- 2重要な財産の処分は取締役会の決議事項であり、これを欠く代表取締役の行為は、原則として有効であるが、相手方が取締役会の決議を経ていないことを知り、または知ることができたときは無効となりうる。
- 3本件売買はB自身が買主となるものではなく知人Cへの売却であるから、利益相反取引に該当する余地はおよそなく、いかなる事情があっても取締役会の承認は不要である。
- 4重要な財産の処分であっても、それが会社の業務執行に属する事項である以上、代表取締役Bが単独の判断で決定して行えば足り、取締役会の決議を経る必要はない。
- 5代表取締役の代表権に内部的な制限を加えた場合、その制限は善意の第三者にも当然に対抗することができ、制限に違反した代表取締役の行為は相手方の善意・悪意を問わず無効となる。
正解
2. 重要な財産の処分は取締役会の決議事項であり、これを欠く代表取締役の行為は、原則として有効であるが、相手方が取締役会の決議を経ていないことを知り、または知ることができたときは無効となりうる。
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解説
重要な財産の処分は取締役会の決議事項であり、これを欠く代表取締役の行為は原則として有効であるが、相手方が取締役会の決議を経ていないことを知り、または知ることができたときは無効となりうるとする記述が最も適切である。会社法362条4項1号は重要な財産の処分・譲受けを取締役に委任することのできない取締役会の決議事項とし、判例は、取締役会の決議を経ずにした代表取締役の取引行為は内部的な意思決定を欠くにとどまるから原則として有効であり、相手方が決議を経ていないことを知りまたは知ることができたときに限り無効であるとする(最判昭和40年9月22日。取引の安全と会社の保護の調整)。内部的な意思決定手続の有無にかかわらず常に有効で、無効を主張する余地は一切ないとする記述は誤りで、上記のとおり例外的に無効となりうる。B自身が買主ではなく知人Cへの売却だから利益相反取引に当たる余地はなく、取締役会の承認はいかなる場合も不要とする記述も誤りで、本件はそもそも重要な財産の処分として取締役会の決議を要するうえ、B個人の利益を図る等の事情によっては間接取引として利益相反取引に当たる余地もある(356条1項3号・365条1項)。会社の業務執行に属する以上代表取締役が単独で決定すれば足りるとする記述も誤りで、重要な財産の処分は取締役会の決議を要し、その決定を代表取締役に委任することもできない(362条4項1号)。代表権に加えた内部的な制限は善意の第三者にも当然に対抗できるとする記述も誤りで、代表取締役の代表権に加えた制限は善意の第三者に対抗することができない(349条5項)。
一問一答
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