問題
A株式会社(取締役会設置会社)の代表取締役Bは、取締役会の承認決議を経ることなく、A社の事業の用に供する重要な財産である工場用地(時価約3億円)を、Bの個人的な知人であるCに売却する旨の契約を締結した。取締役会の決議を欠く代表取締役の行為および利益相反取引に関する次の①〜⑤の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
選択肢
- 1代表取締役の対外的な行為は、会社の内部的な意思決定手続の有無にかかわらず常に有効であり、A社が取締役会決議を欠くことを理由としてCに対し売買契約の無効を主張する余地は一切ない。
- 2重要な財産の処分は取締役会の決議事項であり、これを欠く代表取締役の行為は、原則として有効であるが、相手方が取締役会の決議を経ていないことを知り、または知ることができたときは無効となりうる。
- 3本件売買はB自身が買主となるものではなく知人Cへの売却であるから、利益相反取引に該当する余地はおよそなく、いかなる事情があっても取締役会の承認は不要である。
- 4重要な財産の処分であっても、それが会社の業務執行に属する事項である以上、代表取締役Bが単独の判断で決定して行えば足り、取締役会の決議を経る必要はない。
- 5代表取締役の代表権に内部的な制限を加えた場合、その制限は善意の第三者にも当然に対抗することができ、制限に違反した代表取締役の行為は相手方の善意・悪意を問わず無効となる。
正解
2. 重要な財産の処分は取締役会の決議事項であり、これを欠く代表取締役の行為は、原則として有効であるが、相手方が取締役会の決議を経ていないことを知り、または知ることができたときは無効となりうる。
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解説
重要な財産の処分は取締役会決議事項であり、相手方が決議の欠缺につき悪意・有過失なら無効となりうるとする②が適切。会社法362条4項は重要な財産の処分・譲受けを取締役会の専決事項とし、これを欠く代表取締役の行為について判例は、原則有効だが相手方が決議を経ていないことを知りまたは知り得たときは無効になりうるとする(取引安全と会社保護の調整)。①は誤りで、上記の通り例外的に無効となりうる。③も誤りで、知人Cへの売却でも、B個人の利益を図る等の事情によっては間接取引として利益相反に当たる余地がある(356条1項3号)。④も誤りで、重要財産の処分は取締役会決議を要し代表取締役単独では決定できない。⑤も誤りで、代表取締役の代表権の制限は善意の第三者に対抗することができない(349条5項)。
一問一答
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