問題
A社は、取引先B社に対する売掛金債権を保全するため、B社の財産に担保を設定することを検討している。物的担保(担保物権)に関する次の①〜⑤の記述のうち、その内容が最も適切なものを1つ選びなさい。
選択肢
- 1A社がB社所有の不動産に抵当権の設定を受ける場合、抵当権はその目的物の占有を抵当権者であるA社に移転することによって設定されるため、設定後はB社が当該不動産を使用収益することができなくなる。
- 2A社がB社所有の動産に質権の設定を受けた場合、A社は、その目的物の占有を取得し、被担保債権の弁済を受けるまでこれを留置することができる。
- 3先取特権は、当事者間の合意(担保権設定契約)によって発生する約定担保物権であるため、A社とB社が合意をしなければ成立しない。
- 4A社がB社所有の不動産に第一順位の抵当権の設定を受けた場合、同一の不動産にさらに別の債権者のために第二順位以下の抵当権を設定することはできず、これに反する抵当権の設定は無効である。
- 5A社がB社所有の不動産に抵当権の設定を受けた場合、その抵当権の効力は、抵当権設定後に当該不動産に付加して一体となった物にはおよそ及ばない。
正解
2. A社がB社所有の動産に質権の設定を受けた場合、A社は、その目的物の占有を取得し、被担保債権の弁済を受けるまでこれを留置することができる。
詳しい解説を見る解説を閉じる
解説
正解は②。質権(民法342条以下)は、債権者が目的物の占有を取得してこれを留置し、被担保債権の弁済がないときに優先弁済を受けることができる担保物権であり、目的物の占有を要する点で抵当権と異なる。①は不適切で、抵当権(民法369条)は目的物の占有を設定者に残したまま設定でき、設定者が引き続き目的物を使用収益できる点に最大の特徴がある(事業用不動産を担保に資金調達できる理由でもある)。③は不適切で、先取特権は法律の定める一定の債権について法律上当然に発生する法定担保物権であり、当事者の合意によって生じる約定担保物権ではない。④は不適切で、同一の不動産に複数の抵当権を設定することができ、それらの優先弁済の順位は登記の先後によって定まる(民法373条)。⑤は不適切で、抵当権の効力は、原則として抵当地の上に存する建物を除き、その目的である不動産に付加して一体となった物に及ぶ(民法370条)。担保物権の占有の要否・発生原因の区別は債権回収実務の基礎である。
一問一答
全400問を繰り返し学習