問題
A社は、B社に対して100万円の売掛金債権を有していたところ、B社は、ほかにみるべき資産がないにもかかわらず、自己の唯一の財産である甲不動産を、その事情を知るC社に贈与してしまった。これによりB社は無資力となった。詐害行為取消権に関する次の①〜⑤の記述のうち、その内容が最も適切なものを1つ選びなさい。
選択肢
- 1A社は、詐害行為取消権を行使するにあたり、裁判外でC社に対して取消しの意思表示をすれば足り、必ずしも訴えを提起する必要はない。
- 2A社は、B社がC社に対して甲不動産を贈与した行為について、その行為がA社を害することをB社が知っていた場合であっても、受益者であるC社が当該行為の当時にA社を害することを知らなかったときは、その取消しを請求することができない。
- 3A社が行使する詐害行為取消権は、被保全債権である売掛金債権が、B社がC社に甲不動産を贈与した行為の後に発生したものであっても、行使することができる。
- 4A社が甲不動産の贈与を詐害行為として取り消す訴えを提起する場合、その被告は債務者であるB社のみで足り、受益者であるC社を被告とする必要はない。
- 5A社の詐害行為取消権は、A社が取消しの原因を知った時から1年、行為の時から5年を経過したときは、これを行使することができなくなる。
正解
2. A社は、B社がC社に対して甲不動産を贈与した行為について、その行為がA社を害することをB社が知っていた場合であっても、受益者であるC社が当該行為の当時にA社を害することを知らなかったときは、その取消しを請求することができない。
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解説
正解は②。民法424条1項ただし書は、受益者がその行為の当時、債権者を害することを知らなかった(善意であった)ときは、債権者は詐害行為取消請求をすることができないと定める。①は不適切で、詐害行為取消権は必ず訴えによって行使しなければならず(民法424条1項本文)、裁判外の意思表示では足りない。③は不適切で、詐害行為取消権の被保全債権は、原則として詐害行為の前の原因に基づいて生じたものでなければならない(民法424条3項)ため、贈与行為の後に発生した債権を被保全債権として行使することは原則できない。④は不適切で、受益者に対する詐害行為取消請求の被告は受益者C社であり(民法424条の7第1項1号)、債務者B社のみを被告とすればよいわけではない。⑤は不適切で、詐害行為取消権の期間制限は、債権者が取消しの原因を知った時から2年、行為の時から10年である(民法426条)。詐害行為取消権は債権回収における責任財産保全の重要な手段である。
一問一答
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