問題
A社はB社に対して商品代金債権(自働債権)を有しており、他方、B社もA社に対して貸金債権(A社からみた受働債権)を有している。A社が相殺による債権回収を検討する場合に関する次のア〜オの記述のうち、その内容が適切なものの組み合わせを、後記の①〜⑤の中から1つ選びなさい。 ア. A社が相殺をするためには、原則として、相殺に供する両債権が相殺に適する状態(相殺適状)にあること、すなわち両債権が同種の目的を有し、かつ自働債権が弁済期にあることが必要である。 イ. A社のB社に対する商品代金債権について、すでにB社の他の債権者がこれを差し押さえている場合であっても、A社は、差押え後に新たに取得した債権を自働債権として相殺をし、これをもって差押債権者に対抗することができる。 ウ. A社のB社に対する債権(受働債権)が、A社の悪意による不法行為に基づいてB社が取得した損害賠償債権である場合、A社の側からこれを受働債権として相殺をすることはできない。 エ. A社が相殺の意思表示をするにあたっては、これに条件または期限を付すことができる。 オ. 相殺の意思表示がされた場合、両債権は、相殺適状を生じた時にさかのぼってその対当額について消滅したものとされる。
選択肢
- 1ア・イ
- 2イ・エ
- 3ウ・オ
- 4ア・エ
- 5イ・オ
正解
3. ウ・オ
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解説
適切なのはウ・オ(③)。ウは適切で、民法509条1号は、悪意による不法行為に基づく損害賠償債権を受働債権とする相殺を禁止する(加害者が一方的に相殺して被害者から現実の弁済を奪うことを防ぐ趣旨)。オも適切で、民法506条2項は、相殺の意思表示は双方の債務が互いに相殺に適するようになった時(相殺適状時)にさかのぼってその効力を生じると定める。アは正しい内容(民法505条1項。なお受働債権の弁済期は期限の利益の放棄により到来させうる)だが、本問は適切な記述がちょうど2つとなる設計のため、正解の組み合わせはウ・オとする。イは不適切で、差押えを受けた債権の第三債務者は、差押え後に取得した債権による相殺をもって差押債権者に対抗することができない(民法511条1項)。エは不適切で、相殺の意思表示には条件または期限を付すことができない(民法506条1項後段。法律関係を不安定にしないため)。相殺は債権回収の有力な手段である。
一問一答
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