問題
A社は、B社に対する金銭債権を回収するため、最終的な強制執行も視野に入れつつ、各種の法的手続を比較検討している。債権回収のための法的手続に関する次の①〜⑤の記述のうち、その内容が最も適切なものを1つ選びなさい。
選択肢
- 1A社が民事調停を申し立て、調停が成立した場合であっても、調停において当事者間で成立した合意には確定判決と同一の効力はなく、これに基づいて強制執行をすることはできない。
- 2A社が支払督促を申し立てた場合において、債務者B社が適法に督促異議を申し立てたときであっても、手続は通常の訴訟手続に移行することはなく、支払督促はそのまま確定する。
- 3A社が少額訴訟を利用する場合、その請求の額に上限はなく、また審理は原則として複数回の期日を重ねて行われる。
- 4A社がB社を被告とする訴訟で勝訴の確定判決を得た場合、A社は、別途、執行文の付与を受けることなく、また執行機関を通すことなく、自らB社の財産を直接差し押さえて換価することができる。
- 5A社が金銭債権の保全のために仮差押えを申し立てる場合、これは本案訴訟の判決が確定するのを待たずに申し立てることができ、被保全権利および保全の必要性を疎明することによって発令を受けることができる。
正解
5. A社が金銭債権の保全のために仮差押えを申し立てる場合、これは本案訴訟の判決が確定するのを待たずに申し立てることができ、被保全権利および保全の必要性を疎明することによって発令を受けることができる。
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解説
正解は⑤。仮差押え(民事保全法20条)は、金銭債権の保全のため債務者の責任財産の現状維持を図る保全処分であり、本案判決の確定前に迅速に申し立てることができ、被保全権利と保全の必要性の疎明で足りる。②は不適切で、督促異議が適法に申し立てられると、支払督促はその限度で効力を失い、通常の訴訟手続に移行する。③は不適切で、少額訴訟は60万円以下の金銭の支払請求に限られ、原則として1回の期日で審理を完了する(簡易迅速が特徴)。④は不適切で、強制執行をするには債務名義(確定判決等)に加えて原則として執行文の付与が必要であり、債権者が自力救済として直接差し押さえることはできず、執行機関を通じて行わなければならない。①は不適切で、民事調停で成立した合意を記載した調停調書は確定判決と同一の効力を有し(民事調停法16条)、債務名義として強制執行をすることができる。保全・本案・執行の流れの理解が重要である。
一問一答
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