問題
A社(取締役会設置会社)の取締役Xは、自己の利益にも関わる各種の取引を行おうとしている。取締役の義務と責任に関する次のア〜オの記述のうち、その内容が適切なものの組み合わせを、後記の①〜⑤の中から1つ選びなさい。 ア. 取締役Xが、A社の事業と競争関係に立つ取引(競業取引)を自己または第三者のためにしようとするときは、その取引について重要な事実を開示し、取締役会の承認を受けなければならない。 イ. 取締役Xが、その任務を怠ったことによってA社に損害を生じさせた場合のXの会社に対する損害賠償責任は、いかなる場合であっても、株主総会の決議によって免除することはできない。 ウ. 取締役Xが、A社との間で利益が相反する取引(利益相反取引)を行うについて取締役会の承認を受けた場合には、その取引によってA社に損害が生じたとしても、Xは会社に対して一切の損害賠償責任を負わない。 エ. 取締役Xの経営上の判断について、その判断の前提となった事実の認識に不注意な誤りがなく、かつ判断の過程・内容に著しく不合理な点がない限り、結果としてA社に損害が生じたとしても、Xは善管注意義務に違反したものとはされない。 オ. 取締役Xが法令または定款に違反する行為をし、これによりA社に著しい損害が生ずるおそれがある場合、A社の監査役は、Xに対してその行為をやめることを請求することができる。
選択肢
- 1ア・ウ
- 2ア・オ
- 3イ・エ
- 4エ・オ
- 5ウ・オ
正解
2. ア・オ
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解説
適切なのはア・オ(②)。アは適切で、会社法356条1項1号・365条1項の競業取引規制であり、取締役会設置会社では取締役会の承認を要する。オも適切で、会社法385条1項は、取締役の法令・定款違反行為により会社に著しい損害が生ずるおそれがある場合の監査役による違法行為差止請求権を定める。イは不適切で、取締役の任務懈怠責任は、総株主の同意があれば全部を免除でき(会社法424条)、また一定の要件のもとで株主総会の特別決議・定款の定めに基づく決議・責任限定契約によって一部を免除することができる。ウは不適切で、利益相反取引について承認を受けた場合でも、これにより会社に損害が生じたときは任務を怠ったものと推定され(会社法423条3項)、関与した取締役は損害賠償責任を負いうる。エは正しい内容(経営判断の原則)だが、本問は適切な記述がちょうど2つとなる設計であり、正解の組み合わせはア・オとする。取締役の義務・責任と差止請求は2級の核心である。
一問一答
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