問題
A社は、C国企業との取引から将来生じうる紛争に備え、契約に紛争解決条項(管轄や仲裁に関する条項)を設けることを検討している。国際的な紛争解決に関する次の①〜⑤の記述のうち、その内容が最も適切なものを1つ選びなさい。
選択肢
- 1外国においてされた仲裁判断は、外国仲裁判断の承認及び執行に関する条約(ニューヨーク条約)の締約国相互間においては、所定の限定的な拒否事由がない限り、その承認および執行が比較的容易に行われる。
- 2A社がC国の裁判所で確定判決を得た場合、その外国判決が確定している限り、A社は、日本の裁判所による執行判決を得ることなく、日本国内において当然にその判決に基づく強制執行をすることができる。
- 3国際取引において、当事者があらかじめ第一審の管轄裁判所を特定の国の裁判所と定める合意(国際裁判管轄の合意)をすることは、当事者の予測可能性を害するため、一切認められない。
- 4仲裁による解決は、その手続が非公開で行われるという利点はあるものの、仲裁判断は外国においては一切執行することができないため、国際取引における紛争解決手段としては適していない。
- 5A社とC国企業との間の紛争について、当事者が仲裁合意をしたとしても、いずれの当事者も、いつでも自由に各国の裁判所に訴えを提起してその裁判所で審理を受けることができる。
正解
1. 外国においてされた仲裁判断は、外国仲裁判断の承認及び執行に関する条約(ニューヨーク条約)の締約国相互間においては、所定の限定的な拒否事由がない限り、その承認および執行が比較的容易に行われる。
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解説
正解は①。外国仲裁判断の承認及び執行に関する条約(ニューヨーク条約)には多数の国が締約しており、締約国相互間では、所定の限定的な拒否事由がない限り、外国仲裁判断の承認および執行が比較的容易に認められる。これが国際取引において仲裁が好まれる大きな理由である。②は不適切で、外国判決を日本国内で執行するには、日本の裁判所による執行判決が必要であり(民事執行法24条)、かつ相互の保証など民事訴訟法118条の承認要件を満たす必要があるため、当然に執行できるわけではない。③は不適切で、国際裁判管轄の合意は、一定の要件のもとで有効に認められる(民事訴訟法3条の7)。④は不適切で、まさにニューヨーク条約によって仲裁判断は外国においても執行することができ、その執行の確実性ゆえに国際取引に適している。⑤は不適切で、有効な仲裁合意がある場合には、相手方の妨訴抗弁により裁判所への訴えは却下されうるのであって、いつでも自由に各国の裁判所で審理を受けられるわけではない。国際的な執行のしくみは2級の重要な論点である。
一問一答
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