問題
A社は機械メーカーであるB社との間で工作機械1台の売買契約を締結し、代金の支払と引換えにB社からA社に当該機械が引き渡された。ところが引渡しから3か月が経過した時点で、その機械には製造時から存在した設計上の欠陥があり、契約で予定された性能を発揮できず通常の使用ができないことが判明した。なお、この欠陥について両当事者はいずれも引渡し時に知らず、契約に特約はないものとする。この契約不適合をめぐる次の①〜⑤の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
選択肢
- 1A社は、機械に契約不適合がある以上、その不適合がB社の責めに帰すべき事由によるものでなくても、契約不適合を理由として当然にB社に対し損害賠償を請求することができる。
- 2A社は、B社に対して相当の期間を定めて履行の追完の催告をすることなく、いきなり代金の減額を請求することがいかなる場合にも認められる。
- 3A社は、契約の内容に適合しない機械の引渡しを受けたものとして、目的物の修補、代替物の引渡しまたは不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができるが、B社は、A社に不相当な負担を課するものでないときは、A社が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。
- 4A社は、契約不適合がその契約および取引上の社会通念に照らして軽微なものであっても、追完の催告をしさえすれば、直ちに売買契約の全部を解除することができる。
- 5A社が契約不適合を理由として権利を行使するためには、不適合を知った時から1年以内にその旨をB社に通知することは要件とされておらず、消滅時効の一般原則による期間内であればいつでも自由に権利を行使できる。
正解
3. A社は、契約の内容に適合しない機械の引渡しを受けたものとして、目的物の修補、代替物の引渡しまたは不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができるが、B社は、A社に不相当な負担を課するものでないときは、A社が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。
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解説
追完請求に対し売主が買主に不相当な負担を課さない範囲で異なる方法による履行の追完をなしうるとする③が適切。改正民法562条は買主の追完請求権を定め、同条1項ただし書により売主は買主に不相当な負担を課すものでないときは買主の指定と異なる方法で追完できる(売主の追完方法選択権)。①は誤り。契約不適合に基づく損害賠償(民法564条・415条)は債務者の帰責事由を要し、帰責事由がなければ免責されうるため「当然に」請求できるわけではない。②も誤り。代金減額請求(563条)は原則として相当期間を定めた追完の催告を前提とし、催告不要は履行不能等の例外に限られるから「いかなる場合にも」は誤り。④も誤り。541条ただし書により不履行が軽微なときは催告解除ができない。⑤も誤り。種類・品質に関する契約不適合については民法566条により買主は不適合を知った時から1年以内に通知しなければ原則として権利行使ができず、「通知は要件とされていない」は誤りである(商人間ではさらに商法526条の特則が及ぶ)。実務では追完→減額→解除という段階的構造と通知期間の管理が重要である。
一問一答
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