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株式会社の組織と運営難易度:

ビジネス実務法務検定2級 予想問題株式会社の組織と運営 第15問

問題

X株式会社(取締役会設置会社かつ監査役設置会社であり、公開会社である)の代表取締役Aは、取締役会の決議による承認を得ないまま、X社を代表してY社との間で、X社が所有する事業用の重要な不動産を売却する旨の契約を締結した。Y社はこの取引に当たり、当該不動産の処分につきX社の取締役会の決議が必要であることおよびその決議を経ていないことを、相当の注意を払えば知ることができた。この取引に関する次の①〜⑤の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

選択肢

  1. 1重要な財産の処分は代表取締役の権限に専属する事項であり、そもそも取締役会の決議を要しないから、本件売買契約は完全に有効であり、X社はAに対して何らの責任も追及することができない。
  2. 2取締役会の決議による承認を欠く重要な財産の処分は、取引の相手方の善意・悪意を問わず常に有効であって、X社はAまたはY社に対して任務懈怠等の責任を追及することができるにとどまり、本件売買契約の効力自体には影響しない。
  3. 3本件不動産の売却が重要な財産の処分に当たるとしても、代表取締役Aの代表権に加えられた内部的制限にすぎないから、Y社がその制限を知っていたか否かにかかわらず、本件売買契約は常に有効である。
  4. 4取締役会の決議による承認を欠く重要な財産の処分は、取引の相手方の善意・悪意を問わず常に無効であって、X社はいつでも所有権に基づき当該不動産の返還を請求することができる。
  5. 5重要な財産の処分は取締役会の決議を要する事項であり、Aが取締役会の承認を得ずに行った本件売買契約は、相手方であるY社が取締役会の決議を経ていないことを知り、または知ることができたときに限り、無効となりうる。

正解

5. 重要な財産の処分は取締役会の決議を要する事項であり、Aが取締役会の承認を得ずに行った本件売買契約は、相手方であるY社が取締役会の決議を経ていないことを知り、または知ることができたときに限り、無効となりうる。

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解説

重要な財産の処分は取締役会の決議事項であり、相手方が決議を経ていないことを知り、または知ることができたときに限り無効となりうるとする⑤が適切。会社法362条4項1号は重要な財産の処分を取締役会の専決事項とし、代表取締役が決議を欠いて行った取引について判例は原則有効としつつ、相手方が決議を経ていないことを知りまたは知り得た(悪意・有過失)ときに限り無効になると解する(相対的無効説)。本問のY社は相当の注意を払えば決議を経ていないことを知り得たのであるから、無効を主張されうる立場にある。①は誤りで、重要な財産の処分は取締役会の決議を要し代表取締役の専決事項ではない。②は誤りで、善意・悪意を問わず常に有効とする点が悪意・有過失の相手方との関係で無効となりうることを看過している。③も誤りで、本件のように相手方が悪意・有過失の場合には契約が無効となりうるから「常に有効」とはいえない。④も誤りで、善意無過失の相手方に対しても常に無効とすると取引の安全を害し判例の立場に反する。実務では「重要な財産」の該当性判断と相手方の調査の要否が問われる。

一問一答

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